見出し画像

「苦手なこと」と、どんなふうに付き合っていくかで、人生は変わるのではないだろうか。

6時間59分07秒。
私のフルマラソン完走記録だ。制限時間は7時間、あと1分遅かったら失格になっていた。

私は持久走が大の苦手。高校3年のときの持久走大会では、クラスで後ろから2番目だった。そんな私が、フルマラソンを完走する日が来ようとは、夢にも思わなかった。

走り始めたきっかけは、近所のジムの閉館だ。20代のころは、夜中まで働く不規則な生活をしていたため、たちまち体重が増加。怠惰な体をこのままにはしておけないと、ジムに通い始めた。週1回程度ではあったが、その効果はてきめん。1年で5kgの減量に成功した。

しかし、運動が習慣になったところで、突然ジムが閉館してしまった。ほかのジムに通うことも考えたが家から遠い。とはいえ、このまま運動をやめてしまうと元の体に戻ってしまう。そこで、家の近所を走り始めた。

すると、走る楽しさがだんだんわかってきた。自分のペースを保てば、心地よく走ることができる。加えて、ジムに行く時間もカットできる。ジョギングは自分のライフスタイルに合っていたのだ。

数年後、フルマラソンに挑戦した。沿道の人がゼッケンの名前を見て、「こくぶさん、がんばって!」と応援してくれる。子どもたちが手を出してハイタッチを求めてくる。こんなにたくさんの人から応援されたことはない。

練習では21kmまでしか走ったことがなく、30km付近から足が前に出なくなった。足の裏や膝がズキズキと痛み、照りつける太陽に頭痛がする。あきらかな脱水症状ではあったが、構わず走り続けた。制限時間を告げるワゴン車が背後に迫る中、ただ、ひたすら足を前に出す。もう一滴もでないほど、力を振り絞った。

ゴールの瞬間、目に映るものがすべてが輝いて見えた。そして、経験したことのない達成感に満たされた。

あれから8年、45歳になった今も走ることは続けている。「苦手なこと」とどんなふうに付き合っていくかで、人生は変わるのではないだろうか。私は走る習慣から「健康」という配当をもらい続けている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?