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ロックダウンから1年。制限のない日常は戻ってくるのかを考える。

今日でスペインの1回目のロックダウンが始まった日から1年がたった。Confinamiento(ロックダウン)という耳慣れない単語がニュースに出てくるようになりあれよあれよという間に、スーパーへの買い出し以外、一歩も外に出られない生活が始まった。4人でシェアハウスをしていたのだが、開始早々にスペイン人は実家へ帰り、アメリカ人も1週間ほどするとトランプが国外にいる留学生への帰国要請を出してアメリカへバタバタと帰国し、私はベネズエラ人のルームメイトと2人の生活になった。といっても、たまにキッチンで顔を合わせるくらいでほとんど会話もなく、ただただ外の景色が朝から夜になっていくのを横目に1日が過ぎるのを待つ生活だった。

この間スペイン語の先生と、人間は嫌なことに出会った時、拒絶→怒り→落ち込み→受け入れる、というプロセスを経て納得していくという話になったのだけど、まさにそうだった気がするし、受け入れたあとも今も、たびたび怒りに戻っては落ち込んで、でもしょうがないよな、と受け入れて、、を繰り返して生きているような気がする。怒ったり、落ち込んだりしたくない、と思ってもなかなかネガティブな感情を全く無くす事って難しい。この1年で、その術を色々探したけど、結局今のところの結論としては、ネガティブな感情を引き起こす要素を極力減らすことと、怒り、悲しみからいかに早く回復できるかの自分の扱い方のコツを知ることが大事なのかもしれない。

3週間後にスペインではイースター休暇が始まる。政府によると、州を超えた移動はできず、アンダルシアの中なら移動ができるようだ。フランスとか、ポルトガルとか、イタリアとか、スペインのほかの州ももっと旅行したい気持ちもあるけれど、でもしょうがないよなあと思って、マラガとかセビージャとか行けるところに行こうかなあと考えている。この1年で、移動に制限がある事だとか、マスクをしなきゃいけないだとか、店の中に入れる定員だとか、日常生活の全てに制限があることに不便は感じるけどだんだん慣れてきてしまっている。

暖かくなってきた街中で、テラス席で人数制限を気にしながらも集まる人たちを見ながら、果たして制限のない日常は戻ってくるのだろうか?とふと考えてしまった。マスクを誰もつけない日が、初対面の人とハグやキスをして挨拶する日が、あるいは満員のクラブやコンサートで音楽を聞いて踊れる日が、人混みを見ても不快感や恐怖心が湧き上がらない日が、本当に来るんだろうか?いつかコロナは終わるだろう。でも制限がなくなったときに、その世界に果たして自分はあっさりとまた戻っていけるんだろうか?

このロックダウンの経験や1年間の制限の生活が、自分の何かを永遠に取り去ってしまって変えてしまったような気もするし、ある日けろりとこんな日々がなかったかのように忘れてしまえるような気もする。



記事を読んでいただきありがとうございます!日々の中で感じたこと、考えたことをつらつらと書きとめていきたいと思います。