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【連載】家族会議『喜びを分かち合えない家族』

「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。その様子を、録音記録をもとに書き記しています。

前回の記事はこちら。

【家族構成】
父:自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母:自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉:うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし:性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。

家族会議7日目#10|喜びを分かち合えない家族

――家父長制の長である父は、わたしが家族会議を主導するのが面白くない。自分が話題をふって、上手くまとめて終わらせたい。

7日目の家族会議は、ここまで父が責められ続けてきたから、最後に挽回したいのだろう。



最後にお母さん。自慢するような内容言ってくれませんかね。


急にふられてどうしよう。自慢するようなこと?


――わが家の家族会議では、「自慢話を堂々とする」ことになっている。「自慢じゃない」としながら自慢話をしてくる父に、嫌気がさしていたからだ。

それならいっそのこと、「自慢話させて!」と宣言して思いっきり自慢話をしたほうが、言うほうも聞くほうもすがすがしいでしょ!

ということで自慢話を聞く習慣ができたのだが、こういうとき、母はなかなか自慢話がでてこない。父はスラスラでてくるんだけど…。

母が何も思いつかず沈黙しているから、わたしが口をはさんだ。


わたし
じゃあ、わたし言っていい?
(姉の勤め先の)院長先生に「妹すげえな」って言われたっていう話、言っていい?


うん!うん!

わたし
なんか今回のメール(会長に送るメール)の文章を「妹と作ったんだ」って言ったら、「妹すげえな」って言われたって。


しかもね、お姉ちゃんの作る文章を何回か見てるんだろうから。いつもはこんな感じなのに、お姉ちゃんが作ったような文章じゃないなって思った。みたいな話だよね。

わたし
「よくできてる」って。
「ゆみ(姉)のことだから、ごちゃごちゃ書くんだろうなって思ったら、今回うまくまとまってたから、これはまゆ(指導者)にやってもらったんだなって思ったんだけど、違うんだ」って。


会長が見ても、まゆちゃんに手伝ってもらったかなとか、思ったりするのかもね。

わたし
実際、添削もしてもらってはいるけどね。


とにかく、ぶれないんだね。泉は。

こっちいったりあっちいったりしない。するときもあるかもしんないけどぶれないから文章だって芯を忘れないっていうか、っていうことなんだね。すごい!

わたし
すごいでしょー?


すげえな!すごい!すごい!
もうぐちゃぐちゃなのにお父さんとお母さん。それを見てたら


いや、ちょっとどさくさに紛れないで。お母さんが自慢したいことを聞きたいの。


――「どさくさに紛れないで」って、傷つくなぁ。娘の自慢話をスルーって、どんだけ心が狭いんだろ、この親父。



そうだよね。ちょっと考えておく。ダメ?明日までの宿題じゃ。


ま、しゃーないねなかったら。


――無いものを、無理やり引っ張り出してする話でもない。そもそも父は、自慢話を聞きたいんじゃなくて、ただ家族会議を主導したいだけだ。

だって、自慢話をしても、褒めることも共感することもしてくれないんだから。



自慢したいことかー。あ!思い出した。


なに?


料理を計算しながら、よくやってるなと思う。自慢って言っていいのか。とにかくよくやってるなって自分で思う。


ほー

わたし
うん、えらい!えらいよね。


――父に食事制限があるため、母は数値を計算しながら料理を作っている。これが結構面倒くさい。作る前に食材の重さ、調味料の分量、すべてを計って計算し、さらにバランスまで考えなければならない。

「自慢話を出して」と母にふって、これが返ってきた父はバツが悪いだろう。



もしかしたら、いつか、どうかなるかもしれないけど。笑
でもそんな気持ちがお父さんに対してのイライラに、出てくるのかな。

わたし
それもあるかもね。前も言ってたよね「こんだけやってるのに」っていう。
だからお母さん、相当頑張ってやってるってことなんだよね。


サクサクやれてるわけではない。

わたし
頑張らないとできないことっていうかさ。やっぱ面倒くさいじゃん。だから頑張って、お父さんのためにやってる。お母さんが、めっちゃ頑張ってやってることなんだよね。


とにかくお父さんに長生きしてほしいと。病気もこれ以上ひどくなって、治療に大変な思いとか、透析とか、なるべくならないほうがいいじゃん。
きっと今だって病院に行くのは大変だけど、もっと大変になるわけでしょ?なるべくならないほうがいいよねって思って。

わたし
それもあるから、運動してほしいってなるよね。


そうだね。

わたし
健康維持のために頑張ってほしいという気持ちのときに、「私こんだけやってるんだから」って。「無駄にしないでよね」じゃないけど、そういう気持ちが乗っちゃうみたいな。

でも偉いよね!それ、誰かに言ったときも「すごい!」って言われたよ。わたしが考えてもすごいと思う。


看護婦さんが言ってたわ。

わたし
看護婦さんにも言われたって言ってたね。看護師さんが言うってことは、病気で来てるみんな、なかなかできてないってことなんだよね。

だからお母さんは相当やってる人ってことなんだよね。


お母さんの性格診断見てみたいね。

わたし
そうだね。


素晴らしいんじゃないか?

わたし
お父さん1人ではさ、やりきれないことだと思うしすごいよね。人のためにやってんだから。


愛を感じていただけたら嬉しいわー


満ち溢れてますわ。


まあでもね、こういうところでイライラしちゃうけど、


あれ?泉のこれ(エムグラム診断結果)なかったっけ?


――バツが悪くなった父は、無理やり話題を変えようとする。


わたし
あるよ。
っていうか、なんかお父さん、褒めるのはあんまり上手じゃないんだね。笑


精一杯です。

わたし
精一杯ね。さっきから話が、すごい変わっちゃうなと思って。


とにかく落ち着いてるね。泉はね。


なんか、泉の今のメールの話、これに属するのかな。


――とにかく話題を変えたい父は、さっきは完全スルーだったわたしの自慢話に戻した。


わたし
スーパードライ?あ、察しが良い?そうかもね。


視点が鋭いんだよ。

わたし
うん。


泉の中に8人の人格が、12345…8人の人格がいるとすれば、この人格が機能したんじゃない?

わたし
そうだね。


聞く力もかな、正しく聞いてる。


全部、相互関係があるんだろうけども。


――今さら性格診断で分析されても嬉しくない。母の自慢話も自分から聞いておいて、褒めることも、感謝することもない。

都合が悪くなれば話題を変えてしまう父とは、話していてもむなしくなるだけだ。


- 家族会議7日目おわり -


家族と喜びを分かち合い共感し合う。そんな家庭に憧れていた。自慢話をしようと言い出したのも、喜びを分かち合って盛り上がる、そんな空気を作りたかったのもある。

だけど、無理なんだな。と思った。

自分のことしか考えられない父には、ハードルが高いらしい。

<次回は家族会議8日目>


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