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【連載】家族会議『ノウハウコレクター』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。その様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
【家族構成】
父:自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母:自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉:うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし:性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。
家族会議7日目#8|ノウハウコレクター
――父の健康問題(運動をはじめてもすぐ辞めてしまう問題)について話し合っている。
父は74歳。体を動かさなければ衰えていく一方の年齢であるため、待ったなしの問題だからだ。
母:
私も焦りとか、そういうのが日々あるのは確か。
父:
いや健康問題って。今、現実的にね、ジム行って、公園でウォーキングして、まだこれで不足で、何かやってほしいと思ってるわけね?
母:
うーん
――今やっているのはいい。それをすぐ辞めてしまうのが問題なのである。
だから母は、父の身体の衰えが心配で、町の健康講座に誘うのだが、それはどうも気に食わないらしい。それで代替案として始めたのが今の運動であって、始めて間もない。
それに父は「講座に行かない」と言っただけであって、代替案として運動することを母に伝えていなかった。だから母は、焦るのだ。
わたし:
そういうことじゃない。今わたしがこの話し始めたのは、代替案用意すれば満足でしょう?みたいな気持ちだと、お母さんは、むかつくんじゃないかなって思ったから言ったって感じね。
父:
で、そこをちょっとのけて、運動に関して、心配だ心配だって言ったら、じゃ運動っていうのはどのくらいのイメージしてるんですか?っていうことを聞きたいわけ。
母:
そうだよね、そういうことになるよね。なんていうのかな、続かないって感じかな。私からすると。そこに取り組む姿勢みたいなことかな。例えば維持とか。
あとは時々「痛い」って言うじゃないですか。そこの痛いとかっていうのを聞くと、やっぱ筋肉だよなって思うから、着実に続けるっていうことかな。やってもやめちゃったりとか、痛くなってやめちゃったりとか、そういうのあるから。とにかく続けるっていうことを
父:
痛くなってやめるっていうの何のことを指してるの?
母:
運動をやめたりするじゃん
父:
運動ってどの運動ですか
――なぜか得意げに聞いてくる父。自分が今まで運動をさぼってきたことを、全部忘れてしまったのだろうか??
母:
歩くのも今までずっとやってなかったわけだから、何かそういうふうに途切れちゃう。
父:
歩くのって丘の上?(丘の上=陸上のことである)
母:
うん。一時歩いてて、もちろんプールは続いてるからそれはいいと思うよ。丘の上、一時歩いてたのをしばらくやってなかったりとか。
父:
そのときは、丘の上歩くのやめてたときにはプールもやってなかったんですよ。どっちもやってない。
――堂々と「どっちもやってない」と言い放つ父。今、運動をしていなかったことを指摘されているというのに。
母:
何でやってなかったの?
父:
なーんでだか知らねけど。それで病院の先生からやった方がいいよということで、プールをやりだした。でプールやりだして、頑張りすぎて、こっちが内出血したと
――「なーんでだか知らね」って。理屈が通らないことは「知らね」で押し切る。母はこうやって、ナメられてきたのだ。
母:
筋トレやったからね。
――プールでのウォーキングがいいよとお医者様に言われ、ジムに通い始めた父は、ジムのトレーニングマシーンも同時に始めた。
いきなり負荷をかけすぎて、脚が内出血したのである。
父:
だからさ、それはやめたよと。やめたかわり、今度こっちを、丘をやりましょうということなんだけど。
母:
痛めないように、着実に続けるようにやるように
父:
いやだから!今の!今のをベースに考えてほしいんだよ。過去はもう!過ぎちゃったやつなんてしゃーない!今、俺やってるよと。これに対してね、あと何かこうした方がいい、ああした方がいいっていうのありますか?
――いやだから!信用ならないから言ってんのに。過去の反省が全くないから、何度も同じこと繰り返すんだって!
父は都合が悪くなると、全部ゼロリセットすることを強要してくる。
母:
あるとすれば、歩くのだけって、筋トレとは違うってよく言われてるんだよね。その筋トレを、何かやるといいなっていうのはあります。
父:
はい。それに対して答えます。私の考え方。歩いて筋肉をつけるっていうのはね、インターバル走法って歩く
母:
早くやったりゆっくりやったりでしょ?
父:
そうそう、それをやればいいんだけども、俺は早く歩けないわけ。だから普通に歩くのやってるんだけど。それって水の中歩くのと違って、非常に何か普段歩く訓練にもなるような気がするわけ。だからそこはそれで自分自身で効果得てんだわ。
――父はノウハウコレクターだ。そのノウハウもほとんど中途半端だけど。
言い合いになると、こうしたノウハウを引っ張り出して論破しようとする。・・・でも、それを実践してないのであれば、なんの説得力もない。
父:
あとプールの中で、さっき言った筋トレ。要するにふくらはぎ。第2の心臓と言われてるふくらはぎはね、強化するということをやってんですよ。つま先立ちで30秒。ずっと立ってるとか。実際には10秒なんだけど。そういうのをやってんです。私なりにね。
――実際には10秒なの?笑
いや10秒でもいいけど。それならノウハウ喋んない方がいいのに。
母:
思ったんだけど、それらを知らなかったりする。お父さんの運動について話し合いたいなって感じがした。今聞いてて。
どういう目的でこれやっててこれはどれくらい続けてみようかとか、その成果はどうかなとか、何か話し合いしたいよねって。
父:
わかりました。だから、これに対してもコミュニケーションっていうのは、いいと思うよ。
――コミュニケーションをとらない張本人に、「いいと思うよ」なんて言われても。
父:
あと年取ると認知症っていうのはね、いやおうなしに来るんだって。昨日テレビで見てたけど、認知症の第一人者が認知症になったんだ。その人が講演でよく喋ってたんだけど、「認知症にならないときの私の内容は、ちょっと浅い」と。「認知症がこんなにつらいもんだと思わなかった」というようなことをいろいろ説明しとったけど。
だからこれ、ああいう第一人者が、当然ならないための予防なんていうのは、自分の頭の中でやってると思うんだけど、それでも出てくると。だからしゃあないところもあるんだよ。というところを知っておいてほしい。
――そんなのはわかってる。その第一人者の人は、努力して予防してもなってしまった。父の場合は、努力してない。だからもう少し努力してと言っているのだ。
母:
うん、それは確かに。努力してもなるかもしれないし、努力しなくてもならないかもしれないし。私だってなるかもしんない。それは努力してなったらしょうがないと思うけど。なんか今認知症にいいと言われてることぐらいはしたいなみたいな。お父さんにもしてほしいなとか、思っちゃってます。
父:
俺今やりたいのはあれだよ。脳に刺激を与えるために、こういうこと(顔面運動をしてみせる)顔面の運動。
母:
やってるの?
父:
やりたいの。どういう種類があるかちょっとわかんないから今勉強中。
わたし:
それはいつでもね、始められるからどんどんやったらいいんじゃないかなって感じだね。
――ノウハウコレクションの披露はいいから、さっさとやればいいのに。うんちくを述べても何もやってないんじゃ意味がない。
記録の意味もあってこの不毛な論議を記事にしたけど、結局父は、知識はあってもやらないし、わたしたちはそんな父への信用がゼロだ。
この議論、父はこの場を切り抜けるのが目的で、母は健康を維持してもらうのが目的だ。目的がズレたまま議論しているのだから、話しが噛み合うはずもない。
- 今日はここまで -
「武士に二言なし(男に二言はない)」ということわざがある。「二言」とは、「一度言った言葉をなかったことにする2度目の言葉」の意だそうだ。
父には常に「二言」がある。2度目どころじゃない。何度でも簡単になかったことにする。せめて訂正してほしい。
父の家は武士の家系だそうだが・・・ご先祖様が泣いているかもしれない。
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!
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