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【連載】家族会議『後悔との向き合い方編』

「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まった家族会議の全記録!録音記録をもとに連載で書き記しています。

前回の記事はこちら。

家族会議1日目#3|後悔との向き合い方

父からでてきた『結婚してから今までの不満』と『ぜんぶチャラにしてやり直したい』という理想。それに対し、わたしは思いを語った。

わたし:お父さんは失敗を次につなげたいんだよね?できればね?今クヨクヨしてるから、いろんな失敗を思い返したらクヨクヨしちゃう状態だから、プラスに変えていきたいってことだよね?

:そうです

わたし:それってさ、ここ最近思ってたんだけど。過去のことを振り返ってくれるじゃん?お母さんもお父さんも。で、後悔するじゃん?で、自分たちのせいでお姉ちゃんに苦しい思いさせちゃうんだなってさ。

わたし:こないだもお母さん、「転校してきたのってどうだったの?」みたいなさ、言ってくれたけど…。


父の転勤によって、わたしは中学3年生の時に転校している。転校先でイジメとかもあったから、母はずっと気にしている。受験も控えた大事な時期での転校が、わたしにとって良くなかったのではないかと。


わたし:そのときにさ、子供の気持ちとか、あとは夫婦の問題とかも。そのときに相手の気持ちをちゃんと考えなかったことで、傷つけてしまったかも。みたいな、そういう後悔を今してるんだと思うんだけど。

わたし:それってさ、ほんと、どうしようもないんだよね。やっちゃったから。もう、過ぎたことっていうか。まぁだからって、「過ぎたことだし」って堂々とされても困るけど。笑

:ハハ・・・笑

わたし:それはそれで反省しつつ、それを次に活かす必要があるよね。なんていうか、分かればいい。わたしだったら、分かってくれてれば結構満足って感じ。その出来事を、本当に悪かったなって思ってるんだって分かれば、そこを償わなくても別に、満足できるんだよね、わたしだったら。

わたし:だから例えば、お父さんとお母さんの入院中の話もおそらく、「お金を払う」「お金を請求する」っていうのは表面上のやり取りでしかなくて。本当は・・・。

わたし:お父さんは入院して弱ってるときに請求されてさ、お父さんがお母さんの気持ち考える余裕はないかもしれないけど、本当であれば、お金を払って「言われたとおりにやったからオッケーでしょ」っていうことじゃなく、気持ちを理解すれば、お母さんも気が済んだんじゃないのかなって思う…。だから、お金払っても気が済んでないんだよね?きっと。お母さんも。お父さんもおそらく。

わたし:お父さんも傷ついた気持ちは気が済んでないし。言われたから払って、じゃあこれでチャラねってならないんだよね。結局。


父が入院したとき、母は日ごろのフラストレーションが爆発して父に世話代を請求した。そのとき父も母も、お互いを思いやる気持ちは皆無だった。

父は先の見えない不安があったと思う。それがワガママというカタチで母にぶつけられていた。「俺は病人なんだぞ」とばかりに母にあれこれ頼みごとをする。動けないから仕方のないことではあるが、細々と頼みごとをされる母は毎日のように病院に通うことになる。

病院が遠かったことも母に負担をかけただろう。そのために仕事を休むことも、母としては同僚への申し訳なさでいっぱいだった。

なにより、先の見えない不安は母も同じである。

こうしたフラストレーションがたまりにたまって、母は父にお金を請求したのだ。タイミングとしては最悪だったと思う。それに、お金を請求するのではなく、自分も不安であることや、仕事とお見舞いの両立が大変であることを正直に話せばよかった。

父は父で、病人である前に夫として、妻が自分の要求に応えるために努力してくれる気持ちを、少しでも慮ってやればよかったのだ。


わたし:だからわたしとしては、その当時「本当に悪いことしたな」とか「傷つけちゃったな」って思ったことを分かること。分かれば十分っていうか。そこに対して何か、すごく償わなくてもいいと思うんだよね。やっちゃって、もう遅いから。

わたし:で、それの償いに値するっていうか、そのかわりに今から変わるっていうことが、一番の償いだと思うんだよね。だから、その時理解できなくても、今理解したって遅くないし、今理解して、それから先変わる。っていうこと。

わたし:だからまぁ、お姉ちゃんのこととかもさ、いろいろ、なんか、過去の後悔の話はよく聞くなぁって思うんだけど、お父さんからもお母さんからも。そんだけ後悔してたら「今変われるはず」とも思う。同時にね。今から先の態度が変わるはずって。

わたし:だから変われないってことはやっぱり、分かってないってことでもあると思う。だからちゃんと分かって、この先の行動を変えるっていう、それで十分だと思うんだよね。

わたし:わたしがさ、ほら、ボランティアとかそういう外のほうに向ければいいよって言ったのもそういう意味。わたしに対して何かしてこなくていいよって。わたしとの間で後悔している経験があるんだったら、それを違う人とか、これから先の人とかに活かしてっていう、そういう意味なんだよね。


わたしは過去に犯罪被害にあっている。その後の両親の在り方によって、ある意味での二次被害にあった。その結果わたしは両親と心の中で決別していたのだが、姉のうつをきっかけに、わたしの気持ちを分かっていなかったことも『子育ての後悔』のひとつとなった。

それに対しわたしは、「わたしはもう大丈夫だし、今さら何かしてもらいたい気持ちはない。わたしのことで後悔しているなら、その経験を今困っている人に活かして欲しい」と思いを伝えている。

正直、今さら罪滅ぼしされてもうっとうしい。わたしに向かってくるものを、他に向けたい気持ちもあった。

母は誠実な人である。わたしの言葉を受けて今、悩み相談のボランティアをしている。こうした行動をしてくれたことで、母への不信は信頼へと変わった。


わたし:過去のことで、まだ分からないことがあるんなら分かる努力をしたほうがいいと思うけど、分かったらそこで、「やってしまった」と反省したまま止まるんじゃなくて、先に進むってことだよね。これからの態度を変えていくとか。

わたし:夫婦間もそうだと思うんだよね、子供のこともそうだと思うけど、今回お父さんから聞いたような、一個一個の事を掘り下げて、そのときお互いがどういう気持ちだったかとか、そのときのお互いを理解し合うことで、これから先の態度を変えていけるのかなって。たぶんこれをこうチャラにしちゃうと、なんかこう、残ったまま…。変わんないと思うよ、きっと態度は。

:チャラに、できないよね?できる?

:あの、チャラはいいです。

わたし:わかった笑

わたし:難しいよね。結構難しいと思う。本当の意味でお父さんに幸せになってもらいたいっていうのも・・・。今こういうふうにやるのってちょっと時間もかかるし、面倒だし、嫌な気持ちにもなるけど、なんか、これをやった先に本当に幸せになってもらえる・・・なるんじゃないかって思うんだよね。

:信じてやらないとダメなんだな、それを。

わたし:そうだね。そう思うんだよね。

:わかりました

わたし:うん。でも今からスタートでもないと思うんだよね。うちの場合って。お姉ちゃんとも色々話してきてるし、ちょっとスピード上げたら、なれると思う。停滞したまま何年もいたみたいな感じだから、そこから抜け出せればいいだけっていうか。実際お父さんもさ、すごい変わったじゃん。変わってきたじゃん。

わたし:きっとさ、今こうして、あの時お母さんに言って「悪かったな」とか、「今思えば上から目線だったな」って思うっていうのはさ、おそらくここ数年お姉ちゃんとかからいろいろ言われたり、やったりしたことで気づいたことだと思うんだよね。言われなかったら気づかなかった可能性あるんじゃないかなって。・・・それもひとつなんだけどね。

:え?それもひとつ。

わたし:気づかないままでいるのもってね。


- 今日はここまで -


わたしがこうして思いを語っても、父に響くことはない。それが悲しい。

これは4年前の録音を元にして書いているが、父には何ひとつ残っていない。そもそも父は、娘に諭されること自体が不満だ。だから納得したようでいて「取るに足らない」こととして切り捨ててしまう。

今になって、父は自己愛性パーソナリティ障害であることがわかった。医師によれば、発達トラウマを抱えていることは間違いないという。このような父が抱えている問題も、家族会議をしなければ分からないままだった。

ただこうなってくると、家族のわだかまりは単なるすれ違いではなくなる。夫婦仲、家族仲で悩みを抱えている人がいるならば、家族会議で改善するパターンと、家族内ではどうすることもできないパターンがあることを知っておいた方がいい。

「いつかは分かり合える」とだけ考えていると、すり減っていくばかりで崩壊してしまう。

わが家の場合は、母は家族会議をしたことで生きることが楽になり、父はどんどんこじらせてしまっている。

<次回に続く>


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