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何もかも憂鬱な夜に

周りの人や世間の目ばかり過剰に気にしすぎて
いつも何かに怯えてる自分が嫌になって
何もかも憂鬱な夜がある。

そんな時にネットでなんか面白い小説ないかな〜と何気なく探していると
「何もかも憂鬱な夜に」というタイトルの本を見つけ、気になって読まずにはいられなかった。


この本は中村文則著の小説で施設で育った「僕」が刑務官となり死刑囚を担当するようになる。その死刑囚と何処かにた「僕」が抱える自殺した友人の記憶や恩師とのやりとり、
自分の中の混沌が描かれている作品で死刑制度と生と死、そして希望と真摯に向き合った作品。
(裏表紙のあらすじより)

これを読んで自分の悩みのちっぽけさに恥ずかしさを覚えながらも まず 重く、暗い、ジットリとした文章なのに何故かスラスラ読めてしまうことに驚いた。


そしてここから先は少しネタバレになってしまうが

又吉直樹の「解説」がとてつもなく素晴らしかった。

僕自身、又吉さんの文章を読むのが初めてだったのだがこの解説で又吉さんは

人間は生きていてフラストレーションが溜まった時急に叫びたくなる時があると思うが
急に叫んだら変なやつだと思われるから我慢するが大声で叫んで自分の周囲にある鬱陶しい膜のようなものを破り裂きたい。その感情は自暴自棄になっているのではなく、生まれようとしているのではないか。人間の人生最初の咆哮は産声である。(省略)

この文を読んでなんて素敵だろうと思った。
自暴自棄になって叫ぶのはなくうまくいっていない現状から生まれ変わりたい思いでの産声だとしたら、僕自身が叫びたくなるような状況に陥った時は、あぁ僕はこの状況を変えたくて生まれ変わりたいのだなと、自分をとても客観視できるような気がするのである。

この解説だけを切り取って書いても多くの人は共感してくれないだろう。
ただ「何もかも憂鬱な夜に」を読んだ後だと
この文は涙が出てくるほどキレイな文に思えた。

もし、すこしでも読んでみたいと思った方がいたなら絶対に解説まで読んでみてほしいと思った。。

何もかも憂鬱な夜に (集英社文庫)

https://www.amazon.co.jp/dp/4087467988/ref=cm_sw_r_cp_api_i_WJAYKWVZP1KFWYA9JA3D

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