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関節を締めることの意義、重要性

古今整体室の治療では関節を締めることを常に考えています。
一般に「関節の歪み」と表現されるものは、関節の緩みとねじれがその本態です。分かりやすく言うと「はまりが悪くなっている」状態です。
関節の噛み込みや癒着による不具合もありますが、頻度としては緩みによる不具合の方が圧倒的に多いです。

何故関節が緩んでくるかというと、関節にしっかりと荷重や圧力がかけられていないからです。
原因のほとんどは不良姿勢の習慣化です。
高枕、横寝、肘枕、体育座り、足の投げ出し座り、胡座、足組み座りなどです。
また長時間の座位や臥位、歩行不足、過度なストレッチ、関節部の牽引などでも関節に緩みが生じます。

関節の緩みを放置すると関節運動の際の摩擦が亢進し関節部の炎症やひいては変形につながります。
また関節の安定性・支持性が低下することで骨格の歪みが強くなり、姿勢の維持を筋肉に依存するため全身が疲労しやすくなります。
さらに関節の緩みは関節をまたぐ神経や血管を引き伸ばすため血行不良やしびれなどの知覚異常を引き起こす原因や悪化要因になったりもします。
神経繊維や血管の長さの変化は微々たるものであってもその管径は確実に狭まるため見過ごすことのできない問題です。

関節部の動きが悪くなったブリキの人形があったとします。この関節部の動きを良くするためにどうしますか?
だいたい2通りの答えが出てくると思います。
1つは、ガシガシ動かす。
もう1つは、潤滑油を注す。
短時の結果だけを見たらどちらもそれほど違いは無いでしょう。しかし、ガシガシ動かし続けたブリキの人形と油を注し続けたブリキの人形のどちらが長持ちするでしょうか?言うまでもないと思います。

人体に話を戻した時、このガシガシ動かすに当たるのが過度なストレッチや関節部の牽引です。
過度なストレッチとは関節の正常な可動域を越える運動を強制するものです。
関節部の牽引は関節腔の減圧を起こし関節液中に気泡を生じさせます。この気泡発生時の衝撃波が関節面に傷をつけます。
どちらも長期的に見ると関節部の不具合につながっていきます。

もう1つの潤滑油を注すに当たるのが関節に荷重や圧力をかけることです。
関節腔の内部には関節液というやや粘り気のある液体が入っています。関節面は直接触れ合っている訳ではなくこの関節液を間に介しています。
関節部に荷重がかかることで関節の内圧が高まり関節液の分子配列が整います。これにより摩擦力が非常に小さくなり関節がスムーズに動くようになります。

言葉で説明するとややこしいですが、プラスチック板などの間に粘り気のあるものをはさんで動かしてもらえれば、無加圧・加圧時の動きの違いを実感してもらえると思います。

関節に荷重や圧力をかけることが関節を締めるということです。
古今整体室で行なっている関節整復処置もテーピングも骨盤部に巻くさらしもウォーキングや体操もそのほとんどが関節を締めることを目的としています。
関節を安全に快適に長く使い続けるために、普段から関節を締めることが大切です。


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