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5話 秘密基地

僕の名前はココロ。
今日は同じ村の友達と
山に向かった。
場所は秘密。
なぜなら、そこは僕たちだけの
基地があるからだ。
大人には教えない基地。
子供だけの秘密基地。
基地は洞窟の穴とかではなく
全部、僕たちで作った。
作り方を忘れないように
日記に書いておこう。
まずは基地の柱となる
大きな木を探す。
次に林に落ちている枝を集める。
おすすめは杉の枝。
なぜなら同じ形をしていて
作りやすいからだ。
枝をいっぱい集めたら
木の幹を中心として
枝を立て掛けていく。
グルっと一周立てると
基地の骨組みができる。
次はその骨組みに
杉の葉っぱやフキの葉っぱを
かぶせていく。
これで基地が完成する。
中は意外と広くて
4人くらい入れる。
基地の中は石の椅子や
丸太のテーブルがある。
そして真ん中には柱となる木。
誰かに教えてもらうことなく
僕たちで全部考えた基地。
失敗もたくさんあったけど
みんなで相談しながら
ここまで完成した。
出来上がった時は
友達みんなでハイタッチして
「完成だーっ!!」
「僕たちでも、やればできる!!」
って叫んだ。
本当に嬉しかった。

この気持ち何なんだろう。
っと僕は考えた。
それは、たぶん、

「たくさんの失敗があったから」

だと思った。
うまく基地ができないときに
友達と相談し、考えて
作ってみては失敗して。
それでも、あきらめずに作った。
だから完成した喜びがあるんだ。

たぶん、基地の作り方を
大人に教えてもらったり
一回も失敗せずに完成したら
この気持ちは、なかったかもしれない。

「…失敗ってなんかいいかも」

大人はなんで失敗を怖がるんだろう。
失敗ってダメなことなのかな…?

僕たち子供にはわからない。
だからみんなで
たくさん失敗しようと思う。
だって、秘密基地が完成した
あの喜びを何度も感じたいから。

僕の名前はココロ。
この日記は未来の僕に送る手紙…。



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