見出し画像

3話 ころんでも起き上がる

僕はココロ。
今日は妹と外の野原で思いっきり
走り回った。
小さな花がそよ風と一緒に
踊っていたから僕も踊った。
小鳥の歌声にあわせて
小枝をタクトに妹は指揮者。
自然とのミュージカルは
毎日公演中。
僕は気持ちよくて
野原の丘を駆け上った
負けず嫌いな妹も
後ろから追いかける
その時、妹のつま先が
石にひっかかり、ころんでしまった。
妹は寝転んだまま泣いている
僕は急いで戻って
妹を起こしてあげようと思った。
でも、その時僕の耳元で
そよ風がこう言ったんだ。
「…大丈夫、少し見守ってあげて」
って。
僕は少し離れたところで
グッと気持ちをおさえて
見守った。
妹は寝転びながら目から流れた
涙を手で拭いて
ゆっくり、ゆっくり立ち上がった。
妹は汚れた服をパンパンとたたき
僕を見てニッコリ笑った。
僕は起き上がった妹に
走って近づき、
ギュッと抱きしめた。
そして、僕は妹に
「よく頑張ったね」
と耳元で伝えた。
妹が、苦しいよぉ。
って、また笑った。
僕は、そよ風の声がなかったら
真っ先に向かって妹を
抱きかかえて起こしていた。
でも、ひとつわかった。
誰かに起こしてもらうのは簡単
でも、自分のちからで
ゆっくりでも起き上がる。
それも大事なんだと。
大切な人だからこそ大事なんだと。
だって、一度起き上がることを
覚えたら何度転んでも
自分で起き上がれるから。
そよ風さんありがとう。
帰り道、僕は妹の手を
ギュッと握って家まで帰った。

僕の名前はココロ。
この日記は未来の僕に送る手紙…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?