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魚つかみと夏

僕の名前はココロ。
今日は朝から、太陽さんがすこぶるご機嫌。
夏休みに毎日あるラジオ体操に向かう僕と妹の体を
ジリジリと刺激する。
集合場所に到着すると、いきなり
「おはよう!今日は何する!?」
っと後ろからナオが相変わらずのテンションで
声をかけてきた。
「こんな日は当然、魚つかみだろ!」
僕は即答でナオに答えた。
「オッケー!いつもの石からスタートなっ!」
不思議なもので、
僕とナオに時間や集合場所という会話はない。
ラジオ体操を汗だくになりながら
帰りは妹と家までかけっこ。
帰りはいつも田んぼのあぜ道を通り
近道で家に戻る。
母ちゃんが作ってくれた朝ごはんを
ガチャガチャと食べて、いざ出発。
荷物は魚を入れる缶だけ。

いつもの場所につくと
ナオはすでに魚と格闘中だった。
僕たちは釣りをしない。
もちろんやったことはある。
でも「釣る」より「つかむ」が楽しいんだ。
裸足で川の中に入り、
バシャバシャと暴れる。
すると、魚たちは驚いて
いろんな場所に隠れようとする。
そのあとに僕たちは川の中にある
大きな石の下に手を突っ込んだりして
隠れた魚を手でつかむ。
魚つかみは僕と魚の鬼ごっこ。
鬼になった僕たちが逃げ回る魚を
どうやって追いかけて捕まえるか。
ナオと僕は作戦を立てて魚を追い込む。
魚も、時に助っ人を呼んでくる。
石の下に手を突っ込んだら
「いったぁい!!やられたぁー!」
石の下にいた、助っ人はカニだった。
僕の指をハサミで挟んで抵抗してくる。
「お前たちも中々やるな!」
冷たい水と魚たちとの鬼ごっこは
あっという間に時間が過ぎていく。
缶にはたくさんの魚がとれた。
ナオと僕は捕まえた魚の数を数えた。
「ヨシッ!!これで8勝6敗2引き分け!」
今日はナオの勝ちだった。

勝敗が決まったところで、
僕たちはいつものように魚を川に帰してあげた。
「ありがとう!また明日も遊ぼうな!」
っと言いながら…。

僕たちの夏と鬼ごっこはまだまだ続きそうだ。

僕の名前はココロ。
この日記は未来の僕に送る手紙…。

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