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夏祭り

僕の名前はココロ。
今日は村の夏祭りだ。
大人のみんなは縁日とか言っているけど
僕はいつも夏祭りと呼んでいる。
理由はないけど、祭りって言葉が好きなんだ。
毎年、夏休みの期間で3日間だけ夏祭りがあって
いつも通っている道が、別世界にかわるんだ。
道の両端に屋台が並び、射的やくじ引き、
金魚すくいやかき氷屋。
たくさんの屋台が長い行列となり並んでいる。
僕は妹と父ちゃんと母ちゃんで
夜に毎年、夏祭りにいっている。
祭りの入り口にくると、たくさんの人が
川の流れのように行列になって歩いている。
僕たちもその中に飛び込み、屋台に挟まれながら
たくさんと人たちの流れに身をまかせていた。
まもなく、僕はさみしい感覚になった。
それは祭りの空気が味わえないと気付いたからだ。
僕と妹はまだ子供。
大人たちの流れの中では何にも見えず
だた、大人の足元を見ているだけだった。
「…なんか、苦しいな。」
そう思った瞬間、僕の体が宙に浮いたんだ。
「どぉだ。これで祭りが楽しめるだろっ!?」
っと父ちゃんが僕の両脇をつかんで肩車をしてくれた。
横を見ると、妹は母ちゃんに抱っこされていた。
いつのまにか妹も笑顔いっぱいにかわっていた。
父ちゃんに肩車から見える祭りは最高だ。
屋台で楽しんでいる人や、お面をかぶっている人。
たくさんの人が笑って楽しんでいる。
その風景には笑顔しかなかった。
僕が好きな祭りはこれなんだ。
すべての人が笑顔でなにかをしている。
この小さな世界には暗い表情や悲しい表情はない。
祭りはみんなを笑顔にする魔法の場所だ。
すると突然、僕の頭の上で大きな音がなった。
「ピュー、ドン!」
「ドン!ドドン!パラパラ」
見上げると真っ暗な空に
大きな大きな花火が上がった。
色とりどりの花火が打ちあがっては
たくさんの人がより一層の笑顔となった。
「祭り」という魔法にかかった僕たち。
僕もこんな魔法を
いつか使える大人になりたいな…。
父ちゃんの肩車という特等席で
みんなの笑顔を見て、
改めて感じた夜だった。

僕の名前はココロ。
この日記は未来の僕に送る手紙…。


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