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今週のMornin#63

秋風の匂い

風には匂いがあると何年も感じ続けている。潮風はわかりやすい。特に秋と冬の風には匂いを感じる。〇〇の匂い、ではなくその季節の匂いなのだ。科学的な分析をすれば、もしかすれば匂いの要素を感じる以上に明確にできるかもしれないけれど、ただそれは特に必要がないとも思う。匂いと記憶のつながりがそうさせているとしか思えないからである。自分が生きてきた、あたり一面吹雪の風の匂いはこれまでも今後も二度と同じものはないと思う、なかったと思う。それ故に、知らない冬の匂いにも敏感に向き合える。

SLASH


今週のMornin

nose

写真の感想

新幹線はかなり安心する。移動手段というところに心から安心する。AからBへ移動してくれるだけなのだが、その間はある意味確定事項で、事故や天変地異でも起こらない限り必ず移動される。自分の意志はどうにも働き得ない。そこに安心する。ひとより不確実性に対して敏感だからだと思う。本当のことはどこにあるのか、普通はどこにあるのか、答えは何なのか、数字でいうとどのくらいなのか。物事の原因と結果が明らかであるほうが嬉しくて、そうでなければ目を背けたくなる。口では曖昧を愛しているようでそれはひどく許せていないのである。そういう自分にとって新幹線の中というのはあまりに確実性の塊で、自分の意志を介さない点で本当にありがたく、不確実であることを許せるともいえる場面の一つだと思う。
移動と安心の象徴、そして物体としての形も好きだ。鼻先、ほどよい。非日常過ぎず、生活に溶け込みすぎず、特別過ぎない感覚が本当にいい。
写真は水平と露出のみ気を使う。あとは通過中の新幹線をどこで捉えるか。連写はしない。カメラのレスポンスを信じて押すべき時に押す。撮りたいものがなくてもあまり気負わずにいれるのが結果的に多く、ほとんどそうで、撮りたかったけど撮れなくてもよかったかと納得しやすい、折り合いを付けやすい、わかりやすいカメラだった。


質感を感じる器官


指先だけが、肌だけが質感を感じる器官では無いと思う。鼻先、でなく鼻の奥で感じることができる質感もある。匂いの重さ、匂いが入ってくる速さで理解できる。心地がいいか良くないか、目を閉じたいかどうか、自然とどうなる匂いなのかどうかなど。夏は匂いが気になる。香水をつけるのは冬が多いのに。反対に、夏はどこかに匂いを探しているから、あえて纏いたくないということかもしれない。それはそれで素敵なことだろうが、自分が常に探している匂いは、まだ嗅ぎたい香りは、どれも夏の匂いだった。

middle

夏はアイス、秋は焼き芋、冬はおでん、春はさくらもちを食べます