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エッセイ【命を守る】

子どもが生まれて最初に思ったこと。
私は、この腕の中で眠る小さな命を守ることができるのだろうか。
この危険な世の中でどうやってこの命を守ればいいのか。
もしも大地震が起きたら?子どもと一緒にいない時は?
考えるほどに、想像するほどに怖くなる。
その怖さの渦に巻き込まれそうになりながら出した答えが、
「生きる力のある子に育てる」「周りの人に助けてもらう」だった。
だから、地域の子育てサークルや町内会にも子供会にも入った。

あの3.11.の大地震。
あの日は末っ子の卒園式と謝恩会があり、小学4年生だった娘は
インフルエンザによる学級閉鎖(本人は元気)で朝から一人で留守番。
そして、地震が起きた。川崎の町も激しく揺れた。
あの瞬間をたった一人で乗り越えた娘。
地震が発生した時、和室で漫画を読んでいたとのこと。あれ、揺れてる?と
まずはテレビをつけて確認。が、テレビがなにを言っているのかよくわからず……と思っている間にどんどん揺れがひどくなり、テレビを消し自分の災害グッズを持ってキッチンへ。
ストーブがついていないか確認。部屋のドアと玄関を開け避難時の出口を確保してから、テーブルの下に入りテーブルの脚をつかみながらじっと揺れがおさまるのを待っていたと……。
地震の翌日、私に教えてくれた。

「よくあの地震の中パニックにならなかったね」と褒めたら、
「パニックになったよ!ちょっと泣いたもん」
いやいや。パニックになっていたら玄関開けたり火の元確認とかできないし。泣いてるだけで動けないかもしれないし!そう伝えたら、
「そっか!ママと起震車に沢山乗ったりしてたからかな?地震の時、起震車に乗ってるような気がして……家の下に機械があって揺らしてるみたい♪って思ったら、少し怖くなくなったの。それから、防災センターで地震避難体験したからかな?揺れてる中で、身を守りながら火を止めてドア開けてっていう練習したことあるから!!」
彼女はこの年、地域の消防クラブ団員でさまざまな防災に関する見学や体験をさせてもらっていた。入部させておいてよかった!

子どもを生むまで避難訓練や防災の学びの大切さに気付いてなかった私だけど、知っていること、訓練していることは本当に大事だと娘の地震時の対応を知ってあらためて実感した。ひとりひとりが自分で自分の命を守るための知恵・知識を身に着ける努力をすること。
私はその大切さを子育てを通して学ばせてもらった。

★エッセイの元になった課題本

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