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エッセイ【しゃべれなくても仲良くなれる】

子どもたちを夫に預けてアメリカに行ったことがある。

20数名のよく見知った仲間たちとの団体旅行。成田空港まで見送りに来てくれた夫と別れて乗った飛行機で、みんな仲間と席が隣合っているのに私だけ隣がいない?長時間のフライト中、左隣り窓側に座るのは誰?
ギリギリに機内に乗り込んできた中国人と思われる3人の男の子たち。前の方に2人が座り、ひとりはチケット片手にどんどんこっちにやってきて、あ!と私の隣を指さした。

飛行機に乗る少し前、出会いがないと嘆く婚活中の子に「出会いなんてその気になったらどこにでもあるよ。アメリカ行きの機内で誰かと知り合って仲良くなる可能性だってゼロじゃないでしょ」なんて言ってた私の隣に若い男の子。私は別に出会いは求めてなかったけど。

成田空港からポートランド空港まで約10時間のフライトの間に、ちょっとしたことがきっかけでその男の子と仲良くなっちゃった。アメリカの大学に留学するとのことで、中国から日本経由でアメリカに行くらしい。「日本にはほんの少しの時間しかいられなかった」と笑う彼は当時高校生だったうちの長男とあまり年が変わらず、私の年齢を聞いてびっくりしていた。ちなみに彼のご両親の方が私より年下らしかった。中国語はもちろん英語もまともにしゃべれない私なのに、アメリカに着くまでほとんど寝ないでおしゃべりとゲームを楽しんだ。

どうせ同じ時間を過ごすなら楽しまなくちゃ!という、彼のここから先の人生を謳歌しようという気持ちが私に伝わったのか、私がもともと持っている人生面白がってなんぼ!の気持ちがよかったのか。伝えたい気持ちわかろうとする心は言葉の壁を越えるんだなぁなんて、しみじみ実感する10時間。

でも彼に「なんで僕の言ってる英語はわかるのに、英語がしゃべれないの?」と真顔で聞かれたのはちょっとショックだったから、やっぱりもう一度英会話の勉強しよう!と決意して……早10年は過ぎた。あれ!?

★エッセイの元になった課題本

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