見出し画像

なぜ嵐はそんなに走り続け(てくれ)るの?


「嵐ってなんでこんな頑張るんだろう...」


 ボクがこの疑問を抱いたのは,つい先日に千秋楽を迎えた嵐のメモリアルライブツアーArashi Anniversary Tour 5×20の2018年・東京ドーム公演のときである.

 東京ドーム公演1日目(2018年12月),この日に嵐の5人は「嵐・20周年」という記念すべき年の2019年に開催するコンサートツアーの全日程を明らかにした.そのスケジュールが以下の通りだ.

画像1

 嵐がこれまでに行ってきたライブツアーの公演回数をはるかに更新する全50公演(追加38公演),動員人数238万人という,ファンの予想をはるかに上回るほどの大きな発表で,櫻井くんは「ファンクラブ会員の方が必ず1回は見られるんじゃないかという計算のもとに走っております」と述べ,ライブにきているファンたち5万5千人を感激させた.

 この発表はすぐさま多くのニュース番組で取り上げられた.Twitterでアラシック(嵐のファン)界隈が驚きと喜びで満ち溢れていたのが記憶に新しい.

 ボクは画面越しで応援したいタイプのジャニーズファンなので,この発表はTwitterで初めて知ったと記憶している.


 正直にいうと,これを知ったとき,ボクは少し引いてしまった


「ただでさえ多忙を極めているのに,大丈夫なの?」と,驚きというよりも心配のほうが勝ったのだ.

 ボクは多くのファンたちの喜びとは真逆に,「このままだと嵐,過労死しちゃうよ...」とあまりポジティブに捉えることができなかった.


 それからボクは何気なアラシック界隈がこの一件で盛り上がっている模様をTwitter上で俯瞰で見ていた.その時に思った.


めっちゃ喜んでるなー.幸せそう...!!

 

 たしかに,ちょいちょい心配の言葉を述べているファンたちも存在していた.しかし,当時の最新TLには「今まで落選してしまったけど,今回のライブには行けるかもしれない」と期待を示すファンもいれば,「せっかくだしワンチャン賭けてみるか!」と希望を見出すファンもいた.

 嵐のこの発表は多くのファンたちに喜びと希望を与えたのである.どうやら,ボクの不安は余計なお節介だったのかもしれない.


 これを受けて改めて思ったのが,「嵐ってなんでこんな頑張るんだろう...」なのであった.


 この疑問が自分の頭の中に2019年になるかならないかくらいのときの2018年末に浮上し,そしてこのコンサートツアーが終わる2019年12月25日,それから終わってから数日が経つ昨日2019年12月31日まで,なんとなく頭の片隅にずっと残っていた.


 「なんでこんな頑張るんだろうなー」という質問に対して,それなりの答えはきっとあるだろうけど,ただ,多分それは難しく複雑で,見出すのにはかなり骨の折れる作業を要するのかなと,ボクは勝手にそう思っていた. 

 だって,嵐の5人はたっっっくさんの人々,それも国内だけではなく世界中の人々も含めて愛と幸せを届けるのを生業としていて,世間のニーズに応えるべく自身のプライベートの時間を犠牲にしてまで,デビューしてから20年,大ヒットしてトップスターに躍り出たとされる年から約10年以上,活動してきているのだから.


 このnote記事を書いている今2020年1月1日現在,まだnoteを始めてから1ヶ月も経っていないが,ボクはそれなりに楽しく,途絶えなくこれを毎日更新してきている.

 1つの記事を書くのにどれだけ早くても2時間,本当に時間がかかるときは4時間くらいを費やし,それ以外の時間にも「何書こうかなー」と題材に上がっているグループやメンバー個人のことについてずっと考える日々だ.

 2020年の1月1日という記念すべきこの日は少し大きなテーマについて考えてみたいなと思ったときに,ボクの頭の片隅でずっと眠っていた,「嵐がこれだけ頑張る理由」を少しでも詳らかにしたいと思ったのである.


 この結論を少しだけいうと,ボクはこの答えがなんとなーく分かった気がする


「多分,こういうことかな? だとしたら,気持ちわかるかも!」といった感じで,明確ではないのだが,朧げに分かった気がする.しかし,これはボクにとって大きな発見であった.


 あくまでもこれは一個人の考え方であることを念頭に置いてもらった上で,ボクの頭の中でその答えにたどり着くまでのプロセスを読者の皆様に見てもらいたい.異論は大歓迎だ.「ちゃうやろ!」とか「私はこう思う」的な意見があればぜひ言ってほしい.てか,そのテーマで熱い話をしながらお酒を飲みたい!アラシックはじめ,お酒の誘いは大歓迎である.


嵐の活動休止をどう捉える?

 嵐がここまで頑張り続ける理由を明らかにしたいのだが,一体どう調べればいいのか,どこにその答えが載っているのかが全く分からなかったということもあり,一旦,嵐の活動休止について色々考えてみた.(※ちなみに「嵐 頑張る 理由」で検索してもドストレートに回答してくれるサイトは1件もヒットしなかった)


 嵐が2020年12月31日をもってグループ活動を休止するということを発表したのは2019年1月28日.メモリアルツアー期間の中での発表であった.

 このニュースを知った時,そして発表があってからある程度の時間が経った今でも,これについてのボクの感想は1ミリも変わっていない.


 ボクがこの休止について思う感想は「絶対そうしたほうがいい!おめでと!ようやくだね!」というもので,休止の選択には大賛成であった.


 もちろん寂しい気持ちもある.ボクが長年愛していたSMAPが解散してしまったという経験もあることから,グループが活動しなくなることの寂しさというものも痛いほど知っている.

 けれども,一ファンであるボクから見て,嵐は心配してしまうほど,長年いつも活躍していた.

 グループの活動としても毎年5大ドームツアーを開催し,アルバムも毎年リリースし,シングルCDも出す.嵐5人がレギュラーで出演する1時間番組は2〜3つはあり,それに加えてメンバーそれぞれ個人としてのレギュラー番組や,ドラマ映画の仕事,そして毎月の雑誌の取材や雑誌のコーナー.....思いつくだけでもこれだけの種類の仕事を彼らはこなしてきた.

 アルバムを1つ完成させるにしても,そしてライブツアーを敢行すること1つ取っても,そのどれもがかなりの労力を要するものである.

 彼らは量的にも質的にも多く,そして大きい仕事たちと長い間向かい合ってきた.

アイドルであるが故の制約

 これだけの仕事をこなす日常のなかで,プライベートは思う存分遊べるのかというと,どうやらそうではないようだ.「アイドル」という職業を背負っている以上,軽い気持ちでどこかへフラッと出かけることは難しいし,長期休暇があるわけでもないので,旅行へいくのもなかなか難しい.そしてなによりも,多くの人たちにとって心の支えとなる恋人の存在というものに関して,彼らの環境はあまりそれに好意的な印象を抱かない.

 ボクにとって1番のショッキングな出来事は,大野くんの熱愛謝罪会見である.

  2015年に大野くんはある女性とお付き合いをしていたようで,それが週刊誌にパパラッチされた.たいてい,そのような熱愛報道系の記事に関してジャニーズがそれに口出しをしたりリアクションをとることはなく,基本的に無視を決め込むのだが,大野くんのこの件に関しては,嵐のライブが始まる直前に報道陣向けの謝罪会見が開かれたのであった.

「僕の軽率な行動でファンの皆様を悲しい気持ちにさせてしまったことを反省し、申し訳ない気持ちでいっぱいです」
「友人の1人。同棲という事実は一切無く、お付き合いもしていません。もう会うことも一切ございません」

 ボクが“男性”のジャニーズファンであるためか,多くの女性ファンが思うほど,このような熱愛報道に傷つくことはまずない.というよりも,「さすが!やっぱ可愛い彼女つくるよな〜」といった感じで羨ましく見ることがほとんどだ.

 というのもボクは,恋愛を歌うのであれば自身にそういう経験がないとちゃんと想いを込めて歌うことはできないだろうと考える立場にあるため,多くの女性ファンにあたかも口説くような発言を往往にするジャニーズタレントは特に.恋愛をするべきであるとボクは思っている.

 しかしながら現実はそのように考えているファンのほうが圧倒的に少なく,熱愛報道が出れば軒並み炎上してしまうのが通例だ.

 今回の大野くんの件に関しては,やはり嵐というグループにおいて実力がかなりあって,事務所からの大きな期待を背負い,とてつもなく多くのファンを抱えてい集団,その規模感を鑑みたとき,無視を決め込むことに事務所は躊躇ったのだろう.

 この謝罪会見は「これ以上,嵐という綺麗な看板を汚さないためにも,悪事を働いた大野には謝罪させて,二度と会うことはないことを誓わせないと」という魂胆で開かれた会見なのではないかとボクは考える.

 大野くんは基本的に自分にとって自由な時間が欲しいと人一倍強く希望するタチの人間だ.この一件を大野くんは,そんな自由を今自分が存在している環境が踏みにじってきた感覚を覚えたことだろう.

 「アイドルはここまで制約されないといけないのか??」とボクはどうしても思ってしまう.

活動休止について,メンバーそれぞれのコメント

 活動休止に際して,メンバーそれぞれが自身の言葉でその報告を表明しており,ボクは「なんで嵐ってこんな頑張るんだろうなー」と思いながら,改めて見直してみた.

 各メンバーのコメント一つひとつが非常に考えさせられるものであり,読む度にどんな表情でどんなことを具体的に想像しながらこの文面を書いたのだろうと思わせられる.

 ボクが冒頭に挙げたような疑問を抱きながら,これらのコメントを見直したとき,ある文面に引っかかった.それは,松潤と翔くんのコメントだ.

[松本]5人で団結して最後まで走るので、ついてきて頂けたら嬉しいです。

 “アイドルというのは見る者に「夢を売る」「幸せを与える」人間だ”という前提で,ファンに支えられながらも,主導権はアイドルが握っている関係性をボクは頭の中で描いていた.「アイドルって?」と聞かれたらきっとボクはこのように答えるだろう.

 この考え方でみると,松潤のコメントはアイドルが主導権を握っているというスタンスを見出すことができ,かなり納得のいく,ストンと腑に落ちるようなコメントであるといえる.

 しかしながら,翔くんのコメントを見たときは「ん?」と少し疑問を抱くことになる.

[櫻井]数え切れないほど沢山の夢を見させてもらいました。数え切れないほど沢山の景色を見られるところまで連れてきてもらいました

 能動的アイドル像を描いてるであろう松潤のコメントに対して,翔くんは「見させてもらいました」「連れてきてもらいました」と受動的に表現している.ボクからみて「このコメントってファンが言うことじゃない?」と思ってしまうところがある.


アラシック(ファン)が嵐(アイドル)に夢を見せているのか・・・・・??


 この翔くんの言葉を見てボクは少し混乱が生じた.嵐とアラシックってどんな関係なんだ??

 なんかよくわからなくなってきたので,ボクは別の手段をとることにした.それは,嵐5人が今まで/これからの自分たちへの想い,そしてファンに向けた想いを歌詞に綴った『5×10』と『5×20』をもう一度聴いてみることにした.


『5×10』と『5×20』から見える,嵐とアラシックの関係性

 10周年のメモリアルソングと20周年のメモリアルソングを聴いて,ボクは「嵐とアラシックの関係性」というものが分かり,嵐がこれだけ走り続ける理由も同時に分かった気がした.

 これらの曲からは,歌詞を見るだけでも素敵な両者の関係性が描かれている.以下では,それを細かくチェックしていく.

焦り 不安 憤りばっか なんか感じていた日々もあったな
でもあなたがいてくれたから その笑顔温かかったから
歩いて来れたんだね(yeah) 横に並びつかんだ手(yeah)
この過ごした時間さえ…ってなんかね いまはまだただ照れるね [from 5×10]

 「焦り 不安 憤りばっか」を感じていたのはアイドル側である嵐であり,笑顔を届ける彼らが人間らしい素直な告白をすると同時に,それを救ってくれたのはファンの「あなた」であることをこの歌詞は伝えている

 そして,「横に並びつかんだ手」というところで,アイドル側の嵐とファン側のアラシックの関係性というのは,お互い手を繋いで一緒に歩き,まるでカップル,または家族かのように互いに支えあいながら...という時間を想起させる歌詞である.

 それを,「この過ごした時間さえ…ってなんかね いまはまだただ照れるね」と表現するところがまたエモい.

“一歩一歩”近い道などないなら 信じる道を行くしかないから
もしもあなたが泣いたら ここでまた逢おうよ
この相変わらずなヤツらからただ愛贈る(yeah)
共に望む未来 for you(yeah)
先の山は風で超える 飛べる
僕らの色で辺り染める yeah [from 5×10]

 さきほど挙げた歌詞は1番のもので,今回の歌詞は2番のものなのだが,ここでは嵐がアラシックに寄り添う描写を表現している.

 「もしもあなたが泣いたら ここでまた逢おうよ この相変わらずなヤツらからただ愛贈る」で嵐側からの救いを表し,「先の山は風で超える 飛べる 僕らの色で辺り染める」で互いに飛び立つ場面を描写する.

 1番の歌詞では【嵐←[寄り添う]←アラシック ▶︎ 嵐⇆アラシック】という表現だったが,2番の歌詞では【嵐→[寄り添う]→アラシック ▶︎ 嵐⇆アラシック】と構成されていることが分かるであろう.なんとも素敵な関係性.これを綺麗にまとめあげたのが最後の歌詞である.

ここに立ってる。僕たちが今、輝けるのは君がいるから
5人でいる。ずっといる。
今までを力に変えて、変わらぬ愛で包み込んだら
永遠が、ほら永遠が
僕と君だけに生まれたんだ。[from 5×10]

 

 時を経て『5×20』でも以上のような素敵な関係性を見出すことは容易くできる.ここでは,時間が経ったからこそ尚もっと魅力的に輝くフレーズを掲げたいと思う.

次は何しようか 気にしないでいいか
嘘じゃない今までが 教えてくれるから
だから今は もう一度 僕らから皆に
ありがとう。
Love love for you...[from 5×20]

 本来的には主導権を握るアイドルの側に立つ嵐が「次は何しようか」と提案を図るものの,「気にしないでいいか」とそれを放棄し,「嘘じゃない今までが 教えてくれるから」と嵐とアラシックの今までの長い関係性から構築されてきた信頼というものをほのめかし,それに頼る様を表現している.

 まるで夫婦かのような信頼感を伴った長い間の関係性を提示したのにもかかわらず,「Love love for you」と堂々と言えて,それを最後に据えられるところにもまた嵐とアラシックの関係性が見えてくる.

「嵐ってなんでこんな頑張るんだろう...」答え**

 1999年まだ10代の彼らがメジャデビューし,今日に至るまでおよそ20年間,全然売れない期間もありつつ根気強く活動していった結果,大ヒットシングルを生み出し,それを契機に本当にたくさんの仕事を任せられるほどのアイドルグループにまで成長し,今や日本一のアイドルグループと称されるほどまでに成り上がってきた.

 そんな彼らが,なぜそこまで走り続けられているのかという疑問のもと,以上のようにもう一度様々な資料に触れてみることにした.

 ここまでの大きな発見を簡潔にまとめると,

①「夢を見させてくれるアイドル」像(と「夢を見せるアイドル」像)
②  カップルような家族のような…素敵な関係性

 特にボクのなかでの大きな発見というのが,活動休止に際しての翔くんのコメントや『5×10』でも見られるような「嵐がアラシックに夢を見させてもらっている」というこの関係性である.

 たしかによくコンサートの締めの挨拶でよくアイドルたちが「ファンのみんなのおかげで〜」というコメントをいうが,ボクのなかではそれはあくまで建前で言ってるのだと思っていて,少なからずボクが彼らのために何かをやってあげたのかと聞かれると,何も答えられない気がする.「CD買って売り上げ伸ばした...とか?」って感じだ.

 正直,今でも「こういうことしました!」みたいなことは全然思いつかないのだが,翔くんのコメントや『5×10』の歌詞を読んで見て,「ファンのみんなのおかげで〜」という文言にリアリティが生まれた感触がした.

 そして,ボクは上記の②に「素敵な関係性」といった言葉で嵐とアラシックのインタラクティブな関係性を表現したが,これをもっと良い感じに言い換えると「愛して愛されて,互いに補う関係性」になるのではないだろうか.

 20代前半のボクが「愛して愛されて...」という言葉をみると“恋人”の存在を想起させられる.

 

 ボクはこの想起で嵐が走り続ける理由がわかった気がした.


 “恋人”という存在ができたことのある者なら特に共感してくれることであろうが,愛する人と一緒に見る景色というものは何でも綺麗に見えてしまい,いつもだったら何気ない場所でも,その人といけば楽しいひと時へと様変わりする.

 もとから素敵な場所へ,愛する人と一緒に行けば,その思い出はとてつもなく最高で幸せなものとして心に刻まれる.たとえ,その場所へ行きつくために幾度となく大変でダメになりそうな時があったとしても,ひと度,目指すべきその場所へ着けばそんなネガティブな記憶も良い経験として変換される.

 「嵐がここまで頑張れているのってこういうことなのかなぁ」と,以上のことを踏まえてこう思うのである.


 それは、愛する人(ファン/アラシック)のためならどんなことだってするという「愛」に起因するものではないだろうか.


 「恋は盲目だ」とはよく言われたものだが,たしかに本気で愛する人のためならたとえどんなことが起きてもポジティブでいられるし,どんな問題も難なく乗り越えられそうな気もする.

 ボクは「嵐がこれだけ走り続ける理由」を「インセンティブ」とかそういうことを考えてしまい,難しく捉えすぎていた.この答えというのは決して難しくなく,ましてメリットとか考える必要もなく,もっと人間基礎的な部分が大いに関係しているんだなとボクはこの調査通じて心からそう感じた.

 この疑問が解けると同時に,なぜここまで嵐が世界中を席巻するほどのアイドルになったのかも分かったような気がした.嵐とアラシック....素敵だもんな...!!


 今年の12月31日,20年以上走り続けてきた嵐は一旦走ることを止め,今までの軌跡を捉え直し,その疲れを癒すための「給水」に入る.それまでの間,彼らはどこまでもボクらのために走り続けてくれるようだ.「愛」をその原動力として...


 2019年12月31日からNetflixで嵐のドキュメンタリー番組が放送されている.活動休止前最後のドキュメンタリーと称し,世界中から注目を集めているが,この彼らの告白のなかで,今回ボクが議題として掲げた「嵐はなぜこんな走り続けるの_」について,何かしらの新しい答えを告白してくれるかもしれない.


 これからも嵐と共に新たな夢の景色を見ていきたいものだ.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?