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#134 新しいお店

 12月なのに、晴れて暖かい土曜日の午後だった。

 私たちは、小さな牧場に行った。車から降りてゆっくりと牧場に歩いていった。3頭のポニーも、私たちのところに小走りでやってきた。
 
 私たちは、木の柵から離れたところで、ポニーを見ていた。しばらくしてりかこは、そっとポニーの鼻筋を撫でた。ポニーも穏やかだった。りかこはポニーと何か話をしていた。妻が、りかことポニーの並んだ写真を撮っていた。
 
 その後私たちは、近所の人がパティシエとして働いているお店に行った。この夏にオープンしたばかりの果物をふんだんに使ったカフェだった。 
 
 りかこは、イチゴたっぷりのプリンを食べた。厨房から出てきたパティシエが「あらりかこちゃん。大きくなったね。小さい時に、うちの娘とよく遊んだね。ママに似ているね。」と言った。

 食事の後、私たちはテラスに出た。夕方になっていたので、寒くなってきた。「おじいちゃんの家どっち?」とりかこが言った。「右のほうにあるで。」と私が言った。
 
 前方には、なだらかな里山が広がっていた。その奥の山並みは、紀伊山地へと続いていた。川に沿って国道があった。車がゆっくりと行き交っていた。
 近くには、すでに稲刈りを終えた田んぼが並んでいた。稲わらや草を燃やした後の淡い煙が、右手のほうから広がってきた。
 
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