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短文学集

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筋も思想も体系も、全部気にせず楽しむことを短文学と称して日々の感傷を綴る。
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2020年10月の記事一覧

ため息の代わり

ため息の代わり

 いつもよりも早い時間、チャイムの音を合図にしてクラスメイトたちはいそいそと席を立つ。試験期間中に与えられる普段よりも長い放課後を、真面目に勉強にあてるもの、遊びの計画に浮足立つもの。いずれにしても、みんなそそくさと教室を出ていこうとする。

 私は、ぐずぐず荷物をまとめる。文房具と少しのテキストしかない、やけに隙間の多いカバンをいつまでもひっかき回している。まだこの部屋に残っているのは、休憩時間

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忍び泣き

忍び泣き

 その日は大きめの低気圧がやって来ていて、予報通り空は一日中暗い雲に覆われていた。数時間に一度、雨風が窓を強く揺らしては去っていくのを、私はずっと布団の中で聞いていた。
 昔から空模様と体調が比例してしまう体質で、せっかくの休日に何も出来ないまま。それもあと四時間ほどで終わってしまう、という頃になってようやく布団から抜け出し、せめて空っぽの冷蔵庫をどうにかしなければ、と遅めの買い出しに出かけること

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