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映像コンテンツと保育のはなし

最近、家庭保育をしている友人からよく聞くのは、「こどもにテレビ、DVD、スマホ、ゲームなどを見せっぱなしで、なかなかあそんであげられないことに、どうしても罪悪感がある」という話題です。
きっと今、そんなおうちのかたが増えているのだとおもいます。今回はそのことについて、私のかんがえていることを記したいと思います。ちょっとこむずかしい話なので気が向いたときに🌱

私は家庭保育で映像コンテンツをつかうこと、ぜんぜんわるいこととおもいません。そして、「いそがしいときはしかたないことなんだから、罪悪感持たなくていいよ!みんなそうしてるよ。」と、無責任にはげますつもりもないです。
なぜかというと、映像コンテンツはこどもにとって、りっぱな教材になるとおもっているからです。

乳幼児教育の基本的なかんがえとして、育ちの要素をあらわす『五領域』というものがあります。
わかりやすいように教科や分野でたとえながら、ざっくり説明します。
①健康
たとえるなら、保健体育
規則正しい生活・食事・排泄・病気予防・体を動かす
②人間関係
これはその名のとおり
人とかかわる・人への愛情と信頼感をそだてる・自立心をそだてる
③環境
社会、理科、算数
五感をつかう・物の性質や仕組みに関心をもつ・自然の豊かさにきづく・工夫してあそぶ・数や形、文字に関心をもつ
④言葉
国語
言葉への興味関心をそだてる・言葉を話す・聞く・文字に興味をもつ
⑤表現
音楽、美術、ダンス、演技
五感をつかって感性や表現力をそだてる・自由に書いたりつくったりする・音楽に親しむ・なりきってあそぶ

保育の現場では、こどもが小学生になるまでの乳幼児期のあいだに、この5つの要素を意識したあそびの内容を計画・実施することで、こどもの総合的な学びにつながる、とかんがえられています。(学習ではなく、『あそびを通して経験する』ことがだいじ!とされています)

今、家ですごすことがふえたこどもたちは、この5つの要素が学べているのでしょうか。次の3通りの環境から学べそうな領域を、ご自身の家庭を想定してかんがえてみてください。

A.おうちのひととのかかわり
B.ひとりあそび
C.映像コンテンツ

それぞれにあてはまるものがあったかと思いますが、おそらく、Aだけでも、Bだけでも、Cだけでも、すべての領域を満たすのはむずかしかったのではないでしょうか。

Cの映像コンテンツにかんして詳しくかんがえてみます。

たとえば、「おかあさんといっしょ」なら、歌やダンスなどの表現領域(言葉や健康にもつながる)。
アニメなら、言葉や表現の領域。
「ピタゴラスイッチ」や「マインクラフト」なら、数や形、物の仕組みから環境の領域が学べる可能性があります。
幼稚園や保育園に通っていれば五領域をまんべんなく学べるように保育がおこなわれています。その機会が閉じられつつある今、おうちのひとがそれらをぜんぶ引き受けて経験させるのはむずかしすぎるとおもいますが、ある程度、おぎなっていくことはだいじだと考えられます。
だから、園生活での学びに代われる力を持ったCの映像コンテンツって、今、ことさらにだいじだとおもうのです。

気をつけたいのは、こどもにとって五領域のいずれかの学びにつながりそうな映像コンテンツをえらぶ必要はある、ということです。

あと、毎日同じ領域にかんする映像コンテンツだけがつづけば、学びにかたよりがでてきてしまうので(あ、Eテレならつけっぱなしになってしまったとしても、年齢に合ったものであれば、番組やコーナーごとにいろんな領域が学べてめちゃいいと思ってます)、他の領域も学べるようにコンテンツ内容を変えたり、Aのおうちのひととの時間やBのひとりあそびの時間をもうけたりすることも、もちろんだいじです。
(余談ですが、Bのひとりあそびの時間もこどもにとってものすごくだいじなので、ひとりであそびに没頭しているときは、必要以上におとながその世界に割り入っていかないこともだいじです)
あとは、園生活がままならないということは、やはり、圧倒的に「人間関係」の領域の学びの機会がへっています。今日は映像コンテンツばかりだったな、という日は、寝る前に10分でも、5分だけでもいいので、スキンシップをたくさんとって話をしたり絵本を読んであげるなどコミュニケーションをとることで、1日の中で学びのバランスを少しでもとれるようにしていくといいとおもいます。
あとは、こまめに休憩をとって、目の疲れには注意することもだいじです。

あ、ちなみに、五領域を毎日学ばせないといけないってことではないです。保育では1週間、月、四半期、年ごとに目標をきめて、ゆっくり学びを経験していけるようにあそびの計画を実施しています。なので、あせる必要はぜんぜんありません。

あくまでも、なんとなく意識の向け方を変えてみるとよいのでは?という提案です。
「今日は相手をしてあげられなかったな、こどもにかわいそうなことをした」
と悲しんでじぶんをせめるよりも、
「今日は学びのバランスにかたよりがあったかもしれないな、無理のない範囲で今後少しずつバランスをとっていこう」
と前向きにおもえたほうが、おうちのひとも、こどもも、しあわせだとおもいます。

映像コンテンツを園の先生の代わりだとおもって、じょうずに活用しながら、おうちのかたがすこしでもラクなきもちで家庭保育ができることをねがっています。



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