ハブを使ったロシアのエネルギー戦略

ロシアは、西側の制裁に対抗する世界的なシステムを構築しつつあります。
それがハブによる流通システムです。
ご存じのように、現在ロシアは、西側の制裁後もインド、トルコ、中国を使って世界中に石油やガスを販売しています。
これらの国は、ロシアから格安で石油やガスを買い、精製・成分調整をした軽油やガソリン、航空燃料などの石油製品にして各国に販売しております。
この時、この三箇国が一方的に利益を上げているのでしょうか?

いえいえ、あのプーチン氏ですよ。
友好国といえども、ロシアが損して相手国が大儲けをする仕組みを受け入れるはずがありません。

実はこの三箇国は、流通の「ハブ」としてロシアが認定し、国と国との間で特別な取り決めをした特恵国なのです。

まず、ハブ国は超格安価格(国際価格の7割~8割引き)で石油やガスを仕入れます。
この石油やガスは、協定で国内消費には使えません。
(ロシアは流通をトレースできるようになっています)
ハブ国は、仕入れた石油やガスを精製し、希望する国に仕入れ額の倍以上の値段で販売します。
ここで得られた利益を、ロシアとハブ国とで分けるのですが、取り分はロシアの方がずっと多いのです。

例えば (価格や通貨、分配比率は例です)
 ① 国際価格が1バレルあたり70ドルの原油を25ドルでロシアからハブ国に輸出
 ② ハブ国は、これを精製して軽油を作り(原価合計30ドル)これを他国に60ドルで販売
 ③ (60-30=)30ドルの利益をロシア20ドル、ハブ国10ドルで分配する
というものです。
これでロシアは、石油やガスを格安で輸出しても、このハブの仕組みを使って大儲けできるのです。
(インドはロシアからの輸入量が22倍になった、という記事が出ていましたね。インドも儲かりましたがロシアはもっと儲かっているのです)
参考
https://news.yahoo.co.jp/pickup/6458479
※ただし、この記事はロシアの利益を理解していません。

ハブ国としてはインドネシア等、他にもいくつかの国が申請しましたが、とりあえずこの三箇国に決まったようです。

日本では、こんな情報は出回りませんし、おそらく政府の対応も悪いので、立候補すらできませんでした。

世が世なら、日本がアジアのエネルギーハブになれたのですけどね。
残念!

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