見出し画像

tanka #8 11.21〜11.30

きっともうすぐ朝だから「会いたい」の気持ちに夜がついていかない


 

脱ぎかけの過去で蓋した 飲んだ水そのまま出てくるみたいな夜に




「甘い」って味だから変 鼻をつく焦げた香りがそんな感じの




ポケットを逃げ出すカイロ貼りつけて こっそり上がる地球の温度




たまにみじん切りにされる心から ため息みたいなしゃぼん玉



帰り道 籠のたまごが跳ねるたび わたしの中で母が鳴いてる



お湯はりのメーターひとつ上げるころ 瞼って鉛、まだ落ちてたい




わすれもの 探し続けて 人生、生 掬って救って 巣食っていてね




燭台に灯す祈りがゆらめいて 消えゆく思いが“愛”だなんてね




ジムビーム:コーラ 5:5 間違いを速まる鼓動が耳打ちしてる




葉の裏に幾ばくかの秋ひそんでて 次の頁はまだ閉じたまま




「囲炉裏」って「祈り」に似てるから好き きみもそれと同じ理由で好き




ポケットに隠したはずの声やらが破れたとこから零れてだめだ




瞳から心がつたってあんまりだ きみがあまりに愛で泣けちゃう




隙間からぽとりと秋が滑り落ち 明日に消えゆく今日の日のこと

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?