tanka　#2

ゆめであれ　ひとひら千切って　嘘になれ　こゆびの先から　火花かすかに

酒を飲むそのたび死にたくなってしまう膝小僧しね脳味噌とけろ

いいよこの苦しみだって愛だってひとつ残らず詠んでやるから

「おめでとう！」「びっくりした？」マンションは壁が薄くて今夜もひとり

あしたなど止まない雨などなくていい　ただこの一瞬息ができるなら

退屈で美しいんだワンカップ、やわらかい風、めくる音とか



みじかいきみの生命線をなぞる　そのためだけに生まれてきたような



釈迦らしくおでこにニキビできたのでたぶんもうすぐ解脱できそう

明け方がいちばんきもちいんだって　恋じゃなくても愛じゃなくても

フィルムごし　ぼやけた指の輪郭で　かすかなきみと　たしかなせかい

バイクで会いに来てくれるやさしさで今日も生きてますウーバーイーツ

立とうにも足が痺れてだめなんです　掃除・洗濯・身辺整理

空き缶を横並べして宙に浮くうすいからだにさかなははねる

ランダムに再生される音たちを本日のテーマソングとする

わたしこのグリンピースだけは好き　やわらかい午後で包んだオムライス

ひまわりもきみの横顔も憂鬱も現像されたら過去になるすべて