見出し画像

赤福うまい。そして赤福みたいな文章を書きたい

伊勢名物「赤福」をお土産にもらった。子供の頃からの大好物だ。

初めて食べた時のことも、はっきりと覚えている。その見た目に「そこら辺で売ってそうな、普通のあんころ餅じゃん……」と思いながら口に入れた瞬間、世界が変わった。

「俺が知っているあんころ餅じゃない!」

こしあんに餅という組み合わせは同じなのに、まるで別物の上品な甘さ。「なぜだ!なぜあんころ餅がこんなにうまいんだ!」と心の中で叫びながら夢中で2個3個と食べて、4個目を親に止められた。

たかがお菓子とは言え、自分の中で固まりつつあったイメージが崩壊する強烈な経験。子供ながらに「この世界には、まだ知らないことがあるんだ」とか「物事を見かけで判断しちゃだめなんだ」と思わずにいられなかった。

大人になってからもこの衝撃は色あせない。今日もじっくりと赤福を味わいながら「ただのあんころ餅を、よくぞこの高みまで……」と感服した。

赤福は普通のあんころ餅よりも「雑味」が少ない気がする。余計なものを徹底的に排除して純度を高めた、昇華させたという感じ。ありふれたものでも、とことん磨き上げれば唯一無二の存在になるのだ……!

そんな赤福好きだからなのか、編集・ライティングを仕事にしている自分の理想的な文章は、赤福のような「シンプルにして唯一無二」だったりする。読者が持っていたイメージをひっくり返すようなものであれば、なおよし。

その域に達しているかはともかく、誤字脱字とか、分かりにくい言い回しとかの「雑味」は取り除いていきたい。

……と、今日3個目の赤福を食べながら思った。さすがにこのへんで止めておこう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?