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【失敗談】デンマークで学んだメニューをそのまま日本でやっても意味がなかった!!!

「トレーニングメニューのバラエティーパックだね!」

お気づきかもしれませんが、これは褒め言葉ではありません。

デンマークから帰国して数ヶ月後に2年間のデンマーク留学の経験があるうちの監督から言われた一言です。

「各トレーニングとの繋がりが少なく、一貫性がない。」

要するに何を目的としたトレーニングなのかわからない。ということです。

それを機に、1回のトレーニングで何を身につけさせたいか、ストーリーを考えるようになって目標から逆算してメニューを考えるようになりました。

自分でも良いメニューが組めてきた、そう思っていた2ヶ月後、今度はこんなことを言われました。

「昔の俺とおんなじことしてる。1つのメニューの時間が少ないんだよね。向こうでは次々とメニューが切り替わって、そこに対応するようなトレーニングだけど、ここではそうはいかないから少し時間をかける必要があるんだよ。」

そこでハッと気づかされました。

デンマークで学んだメニューをそのまま当てはめるだけじゃダメなんだと。

デンマークでの指導

デンマークでハンドボールは「地域クラブ」を基盤に行われています。

おおよそ10歳くらいから(早ければ7,8歳)デンマークハンドボール協会から打ち出されている「一貫指導」のガイドラインに沿ったトレーニングが組まれます。

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各年齢で適切な能力は開発されるようにトレーニングを積んだ選手たちはしっかりとした「個人戦術力」を持って上のカテゴリーに上がる選手がとても多い印象。

「個人戦術力」を土台に次々と条件付けによって変化していくメニューを、いかに簡単にシンプルに短時間で解決していけるか。

これがデンマークでのトレーニングです。

思っているよりシンプルなトレーニングが多かったです。シンプルなメニューを条件付けによって難易度調節し、より正確なプレーを求めます。

日本での指導

日本では選手によってハンドボールを始めるタイミングはバラバラなことが多いです。小学生から始める選手、中学から、高校から始める選手も少なくありません。

トレーニングをしたときに、そのトレーニングに付いてこられるだけの「個人戦術力」が必要なのですが、身につけられている「個人戦術力の程度」によって選手ごとの難易度が大きく変わってしまいます。

極端な例を挙げると、3:3をしたいという選手がいる横で、キャッチボールもままならない選手がいる状況です。

これは中学や高校でよく見られる光景ですが、3年間という成長期には大きすぎる年齢の幅で同じチームを組んだときに出る問題点の1つです。

ほとんどのチームにコーチはたった1人なのにも関わらず、必要になってくるトレーニングは2つ3つを越える場合があります。

なので、出来るだけ1つのメニューに費やす時間を設けて、選手が対応していく過程を見守ることが大事なのだと思います。

文化が違うのにトレーニングは一緒。それはおかしいこと。


デンマークの選手と日本の選手、個人が持っている戦術力、これまでのトレーニング、性格、習慣、それらから培われた文化。

全て違うのに、その人たちが良いプレーしているという理由だけで、トレーニングメニューをただ模倣するのは、選手のためにも日本のためにもならないのだと思います。

トレーニングの背景を理解した上で、実施しないと何の意味もないんだと。先生に言われた言葉を自分なりに噛み砕いて感じました。

ハンドボールを始める時期が異なる選手たちには、とても丁寧な指導が必要で、それが彼らの個人戦術力の土台になっていきます。

現在の世代別代表候補クラスの選手なら、10あるうち1言えば自分自身で10全て理解できるところまでたどり着く選手が多い(だいぶ大袈裟に言って。)、しかしたいていの選手は6、7、選手によっては8、9まで言わないとトレーニングそのものが持っている「選手が成長出来る可能性」を引き出すことが出来ない。

その選手の中に、そういった個人戦術を鍛えることさえできれば代表クラスの選手と渡り合い、敷いては世界と戦える選手が何人潜んでいるでしょうか。

そういった選手たちを発掘して初めて「役割を果たせた」と言えるのではないでしょうか。

「どれだけ優れたコーチでも、どの選手がトッププレーヤーになるかはシニア選手にならないとわからない。」

この記事でも書いたように、選手たちの可能性を出来るだけ長い間担保してあげることがコーチの仕事の一つだと思います。

日本の選手の背景を理解して、トレーニングの背景を理解して、個々人に合ったトレーニングを考えていくことがその一歩目になるのではないでしょうか。

今日はこれくらいで!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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本日もお疲れ様でした!

筑波大男子ハンドボール部 森永 浩壽

2022年の今、フルタイムで働きながら日本リーグ参入を目指すハンドボールチーム"富山ドリームス"の選手として活動しています。ここでのサポートは自身の競技力の向上(主に食費です...)と、富山県内の地域との交流に使わせていただきます。