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「故郷を離れてますけど、ぜんぜん寂しくないです。お客さんが自分の家族みたいなんですね。」 -アジアンダイニングヒマラヤ店主 ヘマ・グルン-

現在制作中の、東京都大田区池上という街にまつわるエピソードを
さまざまな人に聞いたZINE。
その内容の一部を、noteで公開します。

日本に来る前は旅行関係の仕事をしてました。ネパールでも旅行会社を持ってて、日本人向けにネパールツアーをやったりしてたんですね。

日本に来たのは2003年です。日本でビジネスやろうと思って。それまでも旅行で日本に来たことあって、すごく日本が好きだったんですよ。私、ネパールのグルン族なんですけど、グルン族って日本人ととっても顔が似てるんですね。同じネパールでもインド系とモンゴル系がいて、モンゴル系にグルン族は入るんですけど。

だからはじめて日本に来たとき、日本人の顔見て、心から「すごい!」って思いましたよ。血が繋がってる気がしたんですね、日本人と。愛情っていうか、親戚みたいな気持ちになったんですよ。だから今でも、成田空港に着くと故郷に着いたみたいにホッとするんですね。アメリカとかオーストラリアとか行っても、すごく遠くにきた感じになるんですけど、日本に来ると安心だし、落ち着きますね。

この街の近くに住み始めてから、よく散歩で来るようになったんです。お寺もあるし、静かですごい素敵なまちだなぁって。それで、このへんでお店やりたいなぁと想って。ずっと探してたら、ここのお店の場所が空いてますよーって。それで2013年の5月に「ヒマラヤ」をオープンしました。



私のお父さんの田舎がダンプスっていう村で、緑がたくさんあって私も大好きなんですね。この街って、ダンプスとちょっと似てますね。緑がたくさんあるところとか。私、自然に触れると、わーってパワーをもらえるんですね。

ダンプスの風景。(写真:ヒマラヤ提供)



私、ネパールの故郷を離れてますけど、ぜんぜん寂しくないです。お客さんが自分の家族みたいなんですね。ここでお客さんに毎日会えて、毎日お話しできるじゃないですか。毎日楽しいですね。こんなちっちゃいお店でも、遠くから足を運んでいただいて。お店にいらっしゃるお客様はみんな本当に家族みたい。それはオープンした時からそういう気持ちで。おかげさまで今年で9年目になってるのも、そういう気持ちでいたからかもしれないですね。

でも、お店はじめてもう6年になりますけど、最初3年は苦労しましたね。お店が今ではサクセスしてるのは主人のおかげですね。私本当に主人に感謝してて、スーパーマンって呼んでるんです(笑)。最初はお客さんで来てたんですけど、私が料理つくって、接客もして、大変だったのを見て、会社終わったあとにサポートしてくれるようになって、いつの間にか旦那さんになっちゃってましたね(笑)。

それで彼も会社をやめてお店を一緒にやるようになりました。私もハーブとか香辛料とか勉強してるけど、日本語でどう伝えたらいいかわからないから、彼がお客さんに伝えてくれたりしてます。



夫婦っていうのは、やっぱり自転車のタイヤと同じですね。ひとつタイヤあっても進まないです。ふたつタイヤがないと。それとおんなじです。なんでも「いいよいいよ」ではなくて、私たち24時間一緒にいるから、お店のやり方でちょっとディスカッションはありますけど、それが結果につながるから。わるい喧嘩じゃなくていい喧嘩ですね。だからほんと、そうやって話ができるっていう意味でも、主人には心から感謝ですね。






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