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「あの日、あそこで告白してなければ、今こうしてこの街で二人でいられていないので。」-池上ちおん 黒田愛美・谷口諒と、池上のこと-

現在制作中の、東京都大田区池上という街にまつわるエピソードを
さまざまな人に聞いたZINE。
その内容の一部を、noteで公開します。

谷口:はじめてこの街に来たのは、僕が告白したときなんですよ。そもそも僕が黒田と出会ったのは、ある企画講座の二次会で名刺交換したときで。

黒田:そのとき谷口は制作会社、私は広告宣伝の仕事で、まぁまぁ近しい仕事をやってたこともあって、「こういう人がいるんだ」って。それくらいでしたね。Facebookでつながったけど、それからは特に連絡を取るでもなく。

谷口:それがあるとき、たまたま僕が開催したイベントに黒田が参加してくれたんです。インスタのストーリーに告知をあげたら反応してくれて。

黒田:そうそう。たまたま家の近くで開催されてて、テーマ的もすごく興味があったので、行ってみようかなって思ったんですよね。

谷口:だけど僕、最初は来てくれたの気づかなくて。受付で「こんにちは〜」って、初対面だと思って普通に挨拶して、名前見たら、「やばい、黒田さんじゃん!」って思って、「すみません」みたいな(笑)。そこからちょくちょく会ったりするようになりました。

告白したのは3年前のゴールデンウィークの最終日ですね。「そろそろ告白しないとな」みたいな感じがありまして(笑)。それで夜9時ぐらいに、「そっち行っていいですか」ってLINEして。今考えたらいきなりすぎてよくわかんないですけど(笑)。

黒田:私はこの街にある会社の寮に住んでたけど、谷口は当時浅草橋に住んでたから、びっくりしました(笑)。まぁ、さすがにこんな夜中に「行っていいか」って言われたから、なにかはあるのかなって思ってましたけど。でもそのとき、ドすっぴんだったんですよ私。お風呂にも入っちゃってたし。だから「今か!」みたいな感じはありましたけど(笑)。

谷口:夜11時ぐらいに家を出て、秋葉原から京浜東北線乗り換えて蒲田にでて、そこから池上線で。家から1時間くらいかかりましたね。次の日から仕事ですけど、「そんなのどうでもいい、今日行くしかない!」と思って。でも、着いたら雨降ってるし、お店も開いてないし。それで、とりあえず本門寺に行ったんですよね。


黒田:ほんとに話す場所なくて。寮には入れられないし。でも本門寺を見て欲しいなという気持ちもあって、連れて行ったんですね。夜中でしたけど。本門寺の境内に上がる石段のところが、雨にあたらずに入れたんで、そこに座って。

谷口:僕もテンパってたのでくわしく覚えてないですけど、そこで告白して、OKもらって、「よかったー」って。次の日仕事だったんで、浅草橋まで慌てて帰ったんですけど。

それからこの街にちょくちょく来るようになりましたね。本門寺通りのフリマに参加して、それが3月くらいだったんですけど、めちゃくちゃ寒かったんですよ。その日に初めて久松温泉に行ったんですけど、バチバチに暑すぎて入れないんです。47,8度くらいだったんじゃないかな。身体が冷えてるのもあって、ぜんぜん入れなくて。でも、常連っぽいおっちゃんたちはめっちゃ自然に入ってて、「嘘でしょ!?」みたいな。そんな洗礼を浴びたのが2019年の5月ぐらいですね。


黒田:それぐらいに、二人でこの街に住み始めたんです。もともとそれぞれ引っ越しを考えてたんですけど、そういえば二人で暮らすっていう選択肢もあるのかって思って。それで物件を探してたら、久松温泉の次男の田邉茂太さんが空き家の借り手を探してるっていう情報を聞いて、この街で「堤方4306」っていう動画配信スタジオをやってたアベさんに茂太さんを紹介してもらって、空き家を見せてもらったんですね。

谷口:本当にここで住むのがいいのか、占いに行くくらい悩んだんですけど(笑)。茂太さんも割と、「この家を自由に使っていいし、街に開いてうまく使ってくれたら嬉しい」っていう感じで、住み開きをしたいっていう私たちの思いとも合っていたので、引っ越すことにしました。

そういえば、あとからこの街にある「ブルールーム」っていうバーに行ったときに常連のおっちゃんから聞いたんですけど、本門寺って願いが叶う場所らしいですね。あの日、あそこで告白してなければ、今こうしてこの街で二人でいられていないので。そういう場所で告白してよかったですね。




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