マガジンのカバー画像

今どきのお坊さんがこれからのお寺について色々考える話(仮)

7
長野県塩尻市の高野山真言宗郷福寺副住職 白馬秀孝と浄土宗善立寺副住職 小路竜嗣がこれからのお寺のあり方について、ゆるゆると意見を交換するマガジン。全10回予定。
運営しているクリエイター

記事一覧

第7回 経済学的仏教法話 ~近くて非なるは仏と経済~

お坊さん(おっさん)二人の仲良し交換日記第7回。前回はこちらです。 小路さんからのご質問です。 Q:信州大学大学院で経済学を専攻されていた白馬さんに一度聞いてみたかったのが宗教(仏教)と経済について、似てるよね。と感じたところや、違うわと思ったことを教えてください。  私は高野山から信州の自坊に帰ってきてすぐに、信州大学大学院に通いました。学位は経済学なのですが、研究のテーマは「寺院と地域社会の関係を再定義する」というもの。(自分の研究について、あるいはなぜ社会科学専攻

第6回「お坊さんがお坊さんに注力できるように」

長野県塩尻市の善立寺副住職と郷福寺副住職の仲良しおじさん僧侶2人による交換日記 今どきのお坊さんがこれからのお寺について色々考える話(仮) ↓前回はこちら↓ 今回で第6回目! 白馬さんからのご質問 Q:そんな先代さまから今のご住職さまへと、善立寺さんの法灯が継承されています。そしていつか、私たちも住職として晋山するときが来ます。どんな住職になっていきたいですか? 「次の世代に笑ってお寺を譲れる住職になりたい」 が私の理想です。 住職=宗教法人代表役員 「住職」って

第5回「いいお坊さん」の後ろ姿から学ぶこと

長野県塩尻市の善立寺副住職と郷福寺副住職のゆるゆる交換日記マガジン 第5回。前回はこちら。 小路さんからのご質問 Q:うちの先代住職は修行に赴く私に「いいお坊さんになってきてね」と声をかけてくれました。それから「いいお坊さん」ってなんだろうと自問しているんですが、白馬さんが想う“いいお坊さん“ってどんなお坊さんですか? 善立寺の先代さま 善立寺の先代さまは、浄土宗だけでなく真言宗の修行もされた方でした。松本市にある観音寺という真言宗のお寺のご住職を務めていたこともありま

第4回 お坊さんの人生も悪くないなと思ったのはどんな時ですか?

長野県塩尻市の善立寺副住職と郷福寺副住職のゆるゆる交換日記マガジン 「今どきのお坊さんがこれからのお寺について色々考える話(仮)」第四回です(前回はこちら) 白馬さんからのご質問 Q.小路さんは一般のご家庭からご縁あって、お寺にお入りになりましたよね。きっと私以上に戸惑うことが多くあったでしょう。 そんな中で、お坊さんの人生って悪くないなって思ったときはどんなときでしたか? 人生設計に「お坊さん」は無かった私は寺生まれではなく、大学院まで機械工学を学び、エンジニアにな

第3回 お坊さんが語る、お坊さんやってて良かったと思う一つのこと。

 今どきのお坊さんがこれからのお寺について色々考える話(仮)第三回です。お坊さん二人の仲良し交換日記、もとい往復書簡1通目。長野県塩尻市善立寺副住職、小路さんからご質問をいただきました。 Q: 白馬さんが「お坊さんやってて楽しいな」と感じるのはどんなときですか?  それは「祈る」ときです。  私は「祈りの共有」をお寺のミッションの一つと考えていて、祈ることによって得られる「心の穏やかさ」を皆さんに提供していきたいと考えています。 でも、祈るって古臭いと思いませんか?  

第2回 仏教って知れば知るほど面白い(後編)

長野県塩尻市の 高野山真言宗郷福寺副住職、白馬秀孝(はくばしゅうこう) 浄土宗善立寺副住職、小路竜嗣(こうじりゅうじ) がつくるマガジン 「今どきのお坊さんがこれからのお寺について色々考える話(仮)」 今回は前回に引き続き、2015年に善立寺寺報「香蓮」に収録した内容をお送りいたします。 ↓前回のお話はこちら↓ 信仰ってなんだろう善立寺副住職小路竜嗣(以下、小路)  多くの日本人はお正月には初詣に行き、お盆にはお墓参りをします。 でも、「宗教を信仰してますか?」と聞く

第1回仏教って知れば知るほど面白い(前編)

この記事は2015年善立寺寺報「香蓮」にて掲載されたものをnote用に再構成したものです。 今回は塩尻市広丘郷原の高野山真言宗郷福寺(きょうふくじ)の副住職、白馬秀孝(はくばしゅうこう)さんとの対談です。 目的は同じ。手段が異なるだけ郷福寺白馬(以下、白馬) 真言宗の宗旨を一言で表すと、即身成仏です。 今この瞬間、仏になろうと決心した瞬間に仏になれる。そのために 三密(印を結ぶ、真言を唱える、仏を観想する)の修行を行います。 善立寺小路(以下、小路) 浄土宗は念仏往