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【いるかプロジェクト始動2】近未来コミュニティー構想(小説風)「ミカさんの夢」

前回までのあらすじ:現在2025年。ぼく(たっくん)は、以前会社の先輩だったミカさんに偶然名古屋であったのをきっかけに、ミカさんの住む八ヶ岳を訪れることになった。ぼくが想像していてた八ヶ岳のスローライフとはまるでちがう世界が展開されていた。

「あの〜、ミカさん。今日は日帰りで名古屋に帰るつもりだったのですが、面白そうなので、一泊したいなって思います。近くにホテルとかありますか?」

「そうね。たくさんはないわね。この辺はもともと地元の方と移住者ばかりなのよ。少し山を登ったところに少し古い山荘があるので、電話してみましょうか?」

「お手数ですが、お願いしてもいいですか?」

「もちろん!ああ、そうそう、お隣に住んでいる方がゲスト用のドームハウスを持っているわね。空いていればそこに泊まらせてもらいなさい。この家より少し小さいけど、作りは同じよ。」

「え!このようなドームハウスに泊まれるんですか。」

ミカさんは、お隣の方に電話をしてOKをもらった。ドームハウスは名古屋ではみたことはない。どうやらもともとはあるアメリカ人の発案で作られ始めたらしい。日本でも何社か手がけているとか。材料も最小限、柱もなく、耐震性も抜群というのがこのハウス。その上、中もまる形状だから空気が循環して暖房効率もいいみたい。

「せっかくだから、お隣さんと夕飯はバーベキューでもやりますしょうか」

「いいですね。是非お願いします。一人暮らしが長いぼくなので、お手伝いはお任せください」


そして、夕方。

買い出しを終えた僕たちは、隣の家の飯塚さんを訪ねた。彼女の家は4人家族で、5年前に移住してきたらしい。ミカさんの同じドームハウスに住んでいる。

「今日はよろしくお願いします。こちらが元同僚の長坂たくさん。たっくんって呼んであげてください」

ぼくも、初対面の人にたっくんって呼ばれるのは恥ずかしいけど、嬉しさもあった。

「では、はじめましょう。いつものバーベキュー場でいいですね。」

「はい」

どうやらこの人たちはいつもやっているようだ。

「え?バーベキュー場はここから遠いですか?」

「ははは、この敷地の中ですよ。」

そう言って、飯塚さんは山を指差した。なんと2000坪の山が、彼らの庭らしい。さっそくその「バーベキュー場」にいってみた。

バーベキュー場には、小さな小屋と平らなスペース。それと井戸らしきものが見えたが、ほかには何もない。そう、薪で火を起こし、井戸水をつかいのバーベキュー。


バーベキューも終盤。飯塚さんの子供たちと旦那さんは先に帰った。

彼女ら2人は、ぼくに聴かせたいのか、夢を語ってくれた。

2人に共通しているのは、ある危機感を持っての移住だった。2020年にコロナ騒動で世界の人々の意識が大きく変化し、これからの世界はこれまでの100年とはまったく別の世界がくるだろうと。そして、金融資本主義といわれる信用社会の崩壊、大量の借金を背負っていた日本はデフォルトを選択し、最終的には法定通貨の価値もなくなるだろうと。

そして、その彼女たちの予測はあたった。新紙幣と称して新しいお札が使われるようになると同時に、旧10万円を新紙幣では1万円。つまりデノミ。

ぼくの給与も10分の1にされてしまって、2023年までのバブルで日本中が湧いていた時とはうって変わってしまった。あの大自動車会社が解体されて売りさばかれるのを目の当たりにしてから、日本は随分変わってしまった。

危機感を持った、この2人の選択は自給自足。そして、この八ヶ岳に移住をしてきたというのだ。でも当時はまだコロナが日本では収まっていなかったし、株価も上がって盛り上がっていたのに、この2人はまったくちがう行動をしたってことだ。

「あのー、ミカさんは八ヶ岳を選んだ理由はなんですか?」

「そうね、単純よ。ここはね今から1万年前の縄文時代におおよそ10%くらいの人々が住んでいたから。自然と共に生きている彼らがこの地を選んだ理由はいくつもあると思うの。お水、日照時間、気候、災害、などの条件が最高だった証じゃない。」

確かに。今は科学技術も発達しているから世界の果てまで住むことはできる。縄文人はそうはいかなかったはずだ。

「それとね、大学の先輩がこの八ヶ岳で研究所をつくるって聞いて、一緒にやらせてもらうことになったのが大きいわね。まだまだ世の中には製品として出回らない、人類のための基礎研究をやっているの。自然と科学の融合ができているこの場所を選んだ。もちろん自給自足は農業未経験では厳しいと思ったから、お仕事があったのもココを選んだ理由かな」

ミカさんにとって、自然と科学を味わえるこの場所は天国なのだろう。そのあともミカさんも飯塚さんも、八ヶ岳に対する思いを語ってくれた。

そしてミカさんの夢を語ってくれた。

「私はね、一エンジニアとしてこの地球の未来を変えていきたいって本気で思っているの。戦争や奪い合いのない地球を作りたい。100年後、いや1000年後の未来のために、残りの人生を使いたいと思っている。それでね。なぜ、地球環境が悪化し、世界から争いがなくならないのか。それはね、不安と恐怖をもっているから。お金の不安、病気の恐怖なんかは典型的よね。でももし、それが無くなったら、人々の生活や考え方ってどう変わると思う?」

ぼくは即答できなかった。ミカさんは続けた。

「今をいきられるようになるの。まさかたっくんは老後のために貯金とかしてないわよね。明日食べるものはある、家もある、お金の心配はなく、自分の好きなことを謳歌していくだけの世界。それぞれが自分の才能や知識を最大限発揮して、ストレスのない世界。・・・・」

ミカさんの話は止まらなかった。おもってみれば、不安や恐怖がなかったら貯金なんてしないし、冷蔵庫もいらないな。溜め込むことは、不安や恐怖から来ているんだ。。。


つづく


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