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⑦ヒト生体タンパク質由来の抗菌ペプチド探索 第2章 抗菌ペプチド探索 2 apoE由来の抗菌ペプチドは、抗認知症効果もある?

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第2章 抗菌ペプチド探索 

2 apoE由来の抗菌ペプチドは、抗認知症効果もある?

a 30-mer peptide of apoprotein E 133–162 (LRVRLASHLRKLRKRLLRDADDLQKRLAVY)

apoE 1-299 https://www.rcsb.org/structure/1B68の中で
apoE133-162はオレンジ(162以降は途切れる)


 apoEは血中で脂質を運搬する「リポタンパク質」のひとつで、もともと、apoE 133-162部位は低密度リポ蛋白受容体(low-density lipoprotein receptor, LDLR)結合領域として知られていた。
  https://www.pnas.org/doi/epdf/10.1073/pnas.83.8.2295

 われわれが、(おそらくはじめて)この、結合領域が、抗菌活性(ひいては抗腫瘍活性も)もつことを報告した。だが、生理的に、apoEが抗菌機能に貢献しているとはいえない、というのが我々の論文の面白いところであり弱点でもあった。
 Peptides 2000 Mar; 21(3): 327-330 
   A synthetic peptide of human apoprotein E with antibacterial activity
 In Vivo 2005 Jan-Feb;19(1):261-264
   Anti-tumor activity of an antibiotic peptide derived from apoprotein E

 20年ぶりに、今回、論文検索すると、しらないうちにこのapoE 133–162 (LRVRLASHLRKLRKRLLRDADDLQKRLAVY) に関して、以下のような知見が追加されてきたことがわかり、少し驚いた。

 この部位は、まずは、apoEの低密度リポ蛋白受容体との結合部位である。しかし、この領域は、ヘパリンと結合し、C1qと結合し、アミロイド蛋白と結合する。

 さらにはこの部位の前半由来ペプチドCOG1410:AS(Aib)LRKL(Aib)KRLL=apoE 138-149
 (注)ここで、(Aib) は2-アミノイソ酪酸を示しています。この配列は、apoEのミメティックペプチドであり、apoEの特定の残基(138-149)を模倣し、2つのアミノ酸が変更されています。すなわち、われわれのapoE peptide (30mer) での下記の太字部
  apoE 133-162 (LRVRLASHLRKLRKRLLRDADDLQKRLAVY)

が、抗菌作用(両親媒性αherix構造により?)をしめし、脳挫傷時の脳神経保護作用(C1qと結合することにより?)を示し、アルツハイマー病でのアミロイド沈着抑制作用(アミロイド蛋白と結合することにより?)をしめした。

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.2147/IDR.S403232

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38006963/

 ひとつ、追記すれば、現在アルツハイマー型認知症の治療薬には、エーザイ製薬の抗アミロイド蛋白質抗体(レカネマブ)に続いて、apoE抗体がアルツハイマー治療薬の候補のひとつになっているということだ。

 さらに、apoEに関して、最近では、認知症の早期診断  例 https://www.sakurahp.or.jp/dock/apoe.html
で、その3つの主要なアイソフォーム:apoE2、apoE3、および apoE4を調べると、ε4を全く持たない遺伝子型に対して、 ε4を1つないし2つ持っている遺伝子型のアルツハイマ一病発症リスクは、右表の通り約3倍~12倍高くなると言われている。
■APOEε4によるアルツハイマー病発症への影響
遣伝子型 リスク(倍)
ε2/ε3     0.6
ε3/ε3     1.0
ε2/ε4、ε3/ε4  3.2
ε4/ε4     11.6

この各々のアイソフォームをみると、
apoE2: 第112位のアルギニンがシステインに置換されています。
apoE3 (最も一般的な形態): 第112位にアルギニンがあり、第158位にシステインがあります。
apoE4: 第112位のアルギニンは変わらず、第158位のシステインがアルギニンに置換されています。

そして、われわれのapoE peptide (30mer)
  apoE 133-162 (LRVRLASHLRKLRKRLLRDADDLQKRLAVY)
は、ε4型(第158位のシステインがアルギニンに置換:太字)を採用しています。

        *

 つまり、
①COG1410(apoE138-149)で検討されていない、apoE peptide (30mer)の後半部分 apoE 147-158
  apoE 133-162 (LRVRLASHLRKLRKRLLRDADDLQKRLAVY) の太字部
②あるいは、apoE 133-162 全体

は両者とも、抗菌作用や、抗認知症効果を検討するに値すると思われます。

    

①へのリンク:https://note.com/kojikoji3744/n/n73e095a67c68

次⑧ヘのリンク:⑧ヒト生体タンパク質由来の抗菌ペプチド探索 第2章 抗菌ペプチド探索 3 新規のタンパク質由来抗菌ペプチド候補|kojikoji (note.com)

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