見出し画像

ビッグバン宇宙論は間違っていた!?(その2)

前回、ビッグバン宇宙論のオリジナル論文が、日本の研究者から指摘を受け、改訂したという話をしました。

実は現代でもビッグバン理論には指摘があります。最近では、こんな記事が話題になっていました。

ようは、
通常のビッグバンに加えて、暗黒物質を生じさせたもう1つのビッグバンがあったかもしれない、
という話です。

宇宙全体のエネルギー(質量)密度でみると、我々にお馴染みの原子・分子で構成された要素はほんの5%で、その大半は暗黒物質(ダークマター)の27%、暗黒エネルギー(ダークエネルギー)68%で占められます。

このうち、暗黒物質はいろいろな研究機関が探索を続けており、今でも新しい試みや新説が登場しています。

今回は、そもそも暗黒物質がどう生じたのか?に疑問をあてた研究発表で、2つ目のビッグバンがもたらした、という仮説です。

前回投稿でふれたとおり、細かくはビッグバンの前に「インフレーション」という超膨張時期でその爆発するエネルギーを獲得するわけです。
そしてその理論提唱者ガモフは、あくまで我々の原子・分子がそこからどう形成されるのかを示したにすぎず、暗黒物質については触れていません。

上記記事では、暗黒物質の探索方法を、下記3つに分類しています。

1.我々が知る物質を高速衝突させて暗黒物質を発生
2.暗黒物質と我々が知る物質との衝突を観測
3.暗黒物質同士を衝突させて我々が知る物質を観測

1つ目以外は、暗黒物質ありきでその由来については触れていません。
ですので、暗黒物質を発生させる第二のビッグバンが、普通の物質を生成したインフレーションと同じメカニズムで起こったのだろう、と考えるのはある意味自然です。

それを米国の科学者たちは「暗黒ビッグバン(Dark Big Bang)」と名付けました。(まだ投稿時点では論文査定前の段階です)

同じメカニズムとは、インフレーションを起こす「場のエネルギー差」のことを指し、その差を生む1つの仮説が「量子的なゆらぎ」です。
もし仮にゆらぎとすると、これが一回しか起こらなかったというのは無理があります。過去投稿した関連記事を引用しておきます。

少なくとも、従来のビッグバン理論では暗黒物質生成プロセスを説明出来ない以上、第二のビッグバンが起こったと想像するのは、素人目には無理がないと感じます。

ただ、問題なのはその仮説を検証する方法です。

今回の仮説として、通常物質と別の経路で暗黒物質が生じた際に、地震波のような衝撃が宇宙全体に伝わった可能性があるようです。

それは「重力波」として検出出来れば一歩進むわけですが、今の最高水準の重力波検出装置(LIGO)では、動きが遅すぎて難しいようです。

その代わりに、パルサー(ブラックホールよりやや軽い星の成れの果て。回転して点滅のように検出されるのが名称由来。タイトル画像はNASA公式サイトより引用)の連星が発する重力波でなら可能かもしれない、という主張をしています。

今回の仮説で注目すべきなのは、今までの探索のように「我々の知る物質との相互作用」という枠組みから離れた点です。
もっといえば、重力とだけ作用し通常物質とは相互作用しない、という特徴を備えています。

もし仮にそれが事実だとすれば、今行っている世界中の暗黒物質探索活動が不毛という、苦い結果を意味します。

研究者によっては事実であってほしくないかもしれませんが、ぜひそれぞれの信念と仮説に基づく研究が、白黒がつかなかったとしてもどこかで実ってほしいと思う今日この頃です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?