見出し画像

JAXA宇宙飛行士試験応募締切りと前回の選抜試験

突然ですが、日本人は世界で3番目に宇宙へ飛んだ人数が多い国です。

宇宙飛行士は、JAXAが選抜・育成しているわけですが、2021年に、宇宙飛行士を募集して話題になっています。
前回の応募が2008年なので、実に13年ぶりです。その応募受付が2022/3/4に終了しました。

前回の応募は963名なので実に2倍近くの伸び率です。宇宙への関心がより高くなっているのを感じます。

今回は、前回応募枠の「理科系大卒で実務経験あり」を撤廃しました。これはとてもいいことだと思います。
「理系」「文系」というよくわからない制度も早くなくしてほしいですね。

まず書類選考で絞り込まれますが、もちろん詳細な試験内容は公開していません。

今回は、前回(2009年)の最終試験内容について紹介したいと思います。

出所はNHKが2009年3月に放送したドキュメンタリー「宇宙飛行士はこうして生まれた ~密着・最終選抜試験~」です。

1次審査(963人→230人):英語力と書類選考
2次試験(230人→50人):専門・教養・医学・心理試験
3次試験(50人→10人):専門家による面接

最終試験では、密閉空間(2DK)・1週間24時間監視のもとでの共同生活を評価されます。評価者は向井千秋さんなど元宇宙飛行士だけでなく、人間工学や心理学の専門家たちも含まれています。

その中で、いくつかの指令をうけて、個人やグループで対応します。

1つの指令は、「心をいやすロボットを作れ」というお題です。
最終的な成果物は公開されませんでしたが、大きくはそこでのリーダーシップが問われています。

次の指令は、「折り紙の鶴を折れ」。1日1時間、4日間で100羽です。
2分で1羽作るペースなので、結構なストレスが候補者にかけられ、それへの耐性を評価されます。
ちなみに、細かいミス(ゼッケンをさかさまに付けたケースも)もシビアにみられています。

これだけだと、ロボットのような正確かつタフな人が選ばれると感じますが、他にも重要な資質があります。

それは、「場を和ませる力」です。

それを測るために、「特技で仲間を楽しませよ」という面白い指令もありました。

密閉空間に長期滞在する以上は、どうしても人同士の関係性及び場づくりが重要ですので、至極納得です。

具体的に候補者同士で人気投票をさせて、誰が一番面白いかを評価します。

番組内では、自衛隊の方が合気道を、医師が美しい歌声を披露してました。
そんな中で人気投票一位が、最終的に合格したパイロット大西さんです。

この方、なんと「一人ミュージカル」を披露しました。番組内ではお世辞にも上手とはいえませんでしたが、目的なのはあくまで「楽しませること」です。
監視する側からも「引き付ける魅力」を高く評価されていました。

これは宇宙飛行士に限らず、社会生活全般でも適用できる示唆に富むエピソードですね。

次は、「緊急事態への対応力」です。これも誰もが納得する資質ですね。

初めの指令で作ったロボットの説明に対して、審査側がダメ出しをして1時間内で改善指示をし、どういう行動をとるかを見極めようというものです。

最後の審査は、NASAメンバによる面接試験です。

目的は「宇宙飛行士になる覚悟」で、過去エピソードなどを引き出して資質を見極めます。

番組では、「なぜ君はここにいるんだい」という質問が紹介されており、ある候補者は、子供のころにスペースシャトルのある会話を全てディクテーションした話をして場を驚かせていました。

さすがに最後まで残った方々は、人としてもいずれも魅力的に映りました。

最終的に、上記の大西さんと自衛隊出身の油井さんの2名が合格しました。ちなみに前回も大体10年ぶりの試験で、今回の合格者も2・3名だとすると実に合格率は「0.2%程度」となります。

投稿時点で実際に宇宙に行った人のプロフィールが下記記事で紹介されています。

最近は富豪の民間宇宙旅行が増えていますが、金銭的なハードルもいずれは下がって、気軽に宇宙に行ける日がくるのでしょうね。

まずは、選抜試験に応募した方々にエールを送りたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?