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ダークマター(暗黒物質)のない透明な銀河?

これを見つけたらノーベル物理学賞間違いなし、と言われているものの1つが「ダークマター(暗黒物質)」。
ゲーム好きの方からすると、暗黒キャラがよくまとう魔法ですね。こちらが元祖です。
そんなUFO以上に未確認なダークマターの存在が、若干揺らいでいるという話題です。

要は、今までどんな銀河でもあると思われていたダークマターが存在しない銀河(超淡銀河)を発見して従来仮説がゆらいでいる、という記事です。

そもそも、なぜダークマターの存在が叫ばれたのでしょう?

天体は遠くて暗く我々の目では検知できないものもあるので、動きを基にニュートン力学法則を適用することで、重力を持つ物質の存在を推測します。

例えば我々が属する天の川銀河も、観測された天体だけで重力を計算すると、もっとお互いがバラバラになるはずといわれています。
つまり今のような安定した回転軌道を維持するには、他に重力を持った物質が必要で、これはほかの銀河でも同様です。大まかにいうと宇宙全体で、我々が知る物質の5倍以上が必要との見積もりです。

その追加分の重力を備えた謎の物質を「ダークマター」と名付けました。

1930年代からツビッキーというやや変わった科学者が同じことを唱えたのですが当時は取り上げられず、1970年代の観測で初めて「光」を浴びました。

ちなみに、宇宙物理ではときどき「暗黒」と呼ぶ癖があり、
暗黒エネルギー(宇宙全体に染み渡るとされる謎の斥力)
暗黒時代(宇宙初期で天体ができるまで何もなかった時代)
などです。

そんなダークマターの候補として、歴史的には
MACHO(MAssive Compact Halo Object)
と総称される大規模天体で、ブラックホールとかも一時期候補でした。

ただ、今はそれはもはや否定されて、その代わりに、
WIMP(Weakly Inter- acting Massive Particle)
と呼ばれる分類です。
ちなみにこれは英語で「弱虫」を意味しており、名付け親のユーモアです。もっといえば、このあとにそれを対比される意図でMACHO(いわずとしれたマッチョです^^)と後付けされました。
今日のネーミングの話を聞くと、物理学者のイメージ変わりそうですが、結構おちゃめなところはちょくちょくあります。

そんなWIMPのなかでも、特に有望視されているのがアクシオンです。
実はダークマターの探索は、日本勢も結構注力しているプロジェクトです。ほかの研究室でも活発に活動しているのでぜひ検索してみてください。

冒頭の記事に戻ります。
今回は、そもそもそんなダークマターが必要ないかも、と衝撃を与えるもので、いくつかの補足的な仮説でも説明がつかないようです。
ただ、そもそも今回発見した銀河の計測方法自体も確認が必要なようなので、ダークマター競争がこれで一気にしぼむことはなさそうです。

最近打ち上げ・展開に成功したジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の検証も、実はこのダークマターも含まれています。

2022年は宇宙の話題でいろいろと騒がしくなりそうで、例年以上にそのアンテナを高くしようと思います。

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