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世界が注目する淡水化技術に新しいアイデア

環境問題といえば温暖化現象が注目されていますが、「水不足」も深刻な地球規模の社会課題です。それを聞くと、

「地球の3分の2を占める海を水として利用すればよいのでは?」

おそらくは普通に連想すると思いますが、塩分が濃すぎるので「淡水化」を施さないと使えません。
環境テーマではよくあることですが、それを施すこと自体が環境への負荷になるという本末転倒になりがちです。

今まで、淡水化技術とそのプラント(工場)はあったのですが、経済面・環境面とのコストバランスは未だに課題がありました。

そんななか、最近新しいアイデアが提示され記事になっています。

ようは、
海上水蒸気から淡水を作るほうが持続可能な仕組みが実現できる、
という話です。

空気中には水蒸気が存在し、日常生活では湿度としてカウントしています。

これを効率的に回収する装置を発明した、と書いたほうが分かりやすいかもしれません。

出所:上記記事内
出所:上記論文内

上記論文内にもある、「水ストレス」という言葉は非日常的かなと思います。ようは、日常生活で不便を感じる状態です。

現時点での予測では、2025年までに28億人が水ストレスにさらされる可能性を提示しています。1つだけ参考になりそうなサイトを紹介します。

この水ストレスは地域性があるので、これと今回の海上水蒸気捕捉による収集試算を比較して、設置の候補箇所まで提案しています。

従来の違いは、経済合理性だけでのパフォーマンス比較だけでなく、海中(従来)淡水化技術による環境負担がもたらす被害も考慮している点かなと思います。
環境負担を補足すると、単にプラント用の電力問題だけでなく、塩分をろ過して廃棄することによる生態系への被害も含まれます。

上記概念図を見てほしいのですが、環境面への配慮で再生可能エネルギー(太陽光発電)を利用しており、全体としての環境負担を考慮しています。

この図を見て思い出したやり取りがあります。

従来型、つまり海水からの淡水化への取り組みで思い浮かべるのは、「ビル・ゲイツ」です。
ゲイツ氏は相当前からそのアイデアを提唱してはいましたが、大きな進展は聞かず、やはり費用負担との折り合いがまだついてないのかなと想像しています。

そして2021年にこんなやりとりが記事になりました。

ようは、
従来型は水のくみ上げ(ポンプ)コストがかかりすぎるが、太陽光発電型にすれば費用を抑えられる、
という指摘です。

なお、やや細かいですが、塩分濃度が相対的に低い場所からくみ上げて、耐塩性植物にも利用、というアイデアも含めています。

以降でこの進展は耳にしませんが、いずれにせよ再エネの低コスト化が進むならこういったアイデアはいずれも実用性が高くなります。

最後に、こういった環境問題へ対応する技術を最近では「気候テック」と呼ばれます。

この気候テックに国家戦略として注力しているのが「イスラエル」です。
中東は淡水が得られにくいというお国事情もあり、自国で培った技術も輸出することで産業面での優位性を築こうと尽力しています。

淡水化技術以外も載ったニュースが最近掲載れているので載せておきます。

環境問題は、いまや経済だけでなく政治的な要素も入り組んだ複雑な国際的競走のイメージが出てきました。

気候テックを通じた水不足問題の解決は望ましいところです。

ただ、誰にとっての持続可能性なのか、技術と効用をバランスよく見極める審美眼が欲しいなぁ、とぼやく今日この頃です。

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