SETI(地球外知的生命体探索)は今でも健在
ちょっと最近元気がないかなと思いこんでいたSETI、地球外知的生命体探索の明るいニュースをみかけました。
要は、
SETIを目的として、既存の大規模望遠鏡(VLA)データを活用できる仕組みを備えたよ、
という話です。
今回はSETIの略歴について触れてみたいと思います。
まず、今回のニュースのなじみ深いところで、今回間借りした既存望遠鏡は映画「コンタクト」でも使われたもので、観たことある方は「あぁ」と懐かしいですよね。
本映画の内容自体のネタバレは踏み込みませんが、ジョディ・フォスターが主人公のSETI科学者の物語です。(正直はまり役)
今回この映画を思い出したのはSETIに関わったという接点だけでなく、最後は一時予算打ち切りになりかけていたプロジェクトへの投資で話が終わる、というやや実際の歴史を彷彿とさせる筋書きです。
正直最近は象徴的な単一電波望遠鏡の崩壊など、SETIについてはやや暗いニュースを目にすることが多かったです。
SETIのスタートは1950年代にさかのぼり、パイオニアは「フランク・ドレイク」という科学者です。
おそらく人名よりは、地球外文明の数を記述したドレイク方程式のほうが有名かもしれません。
ドレイク自身がはじいた1961年の解は「10」でした。
今でも納得性のある数値は出ていませんが、むしろこういった議論の土台が出来たことに価値がありました。
その後1967年に、地球外生命体からの信号をジョスリン・ベル・バーネルという若手研究者が見つけ、世界中が騒然しました。
当時の名称が「LGM=リトル・グリーン・メン」なので、本気度が伝わりますね。
ただ、残念ながら後の研究で「中性子星」からであることが分かりました。もちろん天文学研究としては意義が高い功績です。(なぜかノーベル賞の受賞は彼女の指導教官ヒューイッシュ・・・)
ただ、ドレイクの貢献や国家間宇宙開発競争も追い風となり、1960年~1970年代は、政府による投資欲が強い時期でした。
知的生命体の信号を見つけるやり方は、受動的に外から来たものを受け取る「パッシブ」と、地球から信号を発信する「アクティブ」に大別でき、両方が試みられていました。
アクティブ型の第一号として、解体記事で紹介した世界最大の電波望遠鏡「アレシボ」からも信号を送信しています。ちょうどもうすぐ50周年を迎えるため、NASAからもいくつか最新論文が投稿されています。
興味を持った方は下記文中からアクセスできます。
そのほか、地上からの信号からでなく宇宙衛星にそのまま情報を張り付けたり今思うと無邪気な時代だったんだろうなぁと思います。
が、冷静に考えるとこれは「宇宙人性善説」に拠っており、途中で性悪説派から反対にあって、いまではあまりアクティブは行われていません。
これはよくSFのテーマとしても扱われますね。論理としては正しいです。
ということで、パッシブ型探索は未だに行われており、冒頭記事もそれに該当します。
私も幼いころ関わって忘れられないのは、バークレー大学が1999年に始めた「SETI@HOME計画」です。
だれでも申請すれば自身のPCに分散処理をさせることで高速処理を実現する(ドラゴンボールの元気玉の発想ですね)、今振り返ってもとても面白いプロジェクトでした。
今はいったん役目を終えて、別テーマの解析処理を行っているそうです。
上記は我々または観測機器が直接到達できない距離の星ですが、太陽系内での探索も1970年代から活発に行っていました。
特に火星に初めて到着した「バイキング1号」の下記写真は今でも有名かもしれませんね。もちろん偶然です^^:
ただ、太陽系内に到着するとそこが知的生命が存在しないことが明白になりました。
今はむしろ「太陽系外惑星」での探索をNASAを中心に行っています。
1つ例を挙げると、2017年に発見したトラピストと呼ばれる惑星群は地球環境に近く、改めてワクワク感を与えてくれたのを覚えています。
それで現在ですが、知的生命体の発見は現時点では決め手となりそうなニュースはないです。
実は2019年にキャッチした地球外信号がもしかしたら、ということがあったのですが、皮肉なことに「我々人類による電波干渉の可能性が高い」というオチでした。
といいながらも、(上記記事含めて)民間からの投資・アイディアも取り入れ始め、さらにはデータ解析能力(AIですね)の飛躍的な向上で、まだまだ可能性が残されています。
ぜひロマンを抱いたまま、首を長くして吉報を待ちましょう。
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