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史上最大の彗星がやってくる

史上最大の「彗星」が我々が所属する太陽系にやってきます。

特に要約はいらないですね。
2010年に発見した方から、「バーナーディネリ・バーンスタイン彗星」と呼ばれます。

今回は、「彗星」にまつわる話をしてみようと思います。

まず、どのニュースも添えているのが「地球にはぶつからないのでご安心を」という但し書きですね。気持ちはわかります☺

そもそもですが、「彗星」の定義は結構盲点です。
尾っぽのある天体?早く動く天体?なんとなくそんなイメージがあります。

Wikiによると・・・
太陽系小天体のうち、おもに氷や塵(核)などでできており、太陽に近づいて一時的な大気であるガス(コマ)や、その物質が流出した塵やイオンの尾を生じるものを指す。
とのことです。
そもそも太陽系に近い場所にある天体を指すので、今回の史上最大の星も、ある意味家族の一員ですね。
たまにふらりと家に帰ってくる「寅さん」みたいなイメージでしょうか?

つぎに尾っぽについてですが、日本で彗星は「ほうき星」と呼ばれるぐらい、愛着のある姿です。
これは、常に見えるわけでなく、あくまで太陽に近づいたときに、その熱で核を作る物質が蒸発し、ガス状になって噴き出したものです。
噴出する方向は、太陽から出ている電磁波やプラズマ(高温で原子から電子が飛び出た状態)流の圧力によるもので、太陽の逆方向を向いています。

観測史上最大の尾っぽの長さは、1996年に観測された百武彗星で、なんと太陽-地球間距離の約3.8倍もありました。スケールが違いますね・・・

次に気になるのは、「そもそもどうやって彗星はできたのか?」

今の仮説では、太陽系の縁にあたる2つのエリアで、惑星の重力の影響で作られたケースが多いようです。

1つ目は「(エッジワース)カイパーベルト

子供のころに、太陽から近い惑星を順に
「水金地火木土天海」
と暗記したのを覚えてますか?(冥王星は途中で準惑星に脱落・・・)
この最後の海王星は地球・太陽間(約1.5億km)の30倍ぐらいの距離で、その数値を使うと、カイパーベルトは「30倍から50倍」の同心円状のエリアを指します。

もう1つがさらに遠い「オールトの雲」で、今回話題の彗星もここから生まれたと推測されています。
先ほどの地球・太陽間の基準値を使うと、1万倍~10万倍と一気に距離が遠くなります。

出所:Wiki「オールトの雲」


投稿時点でこの彗星は太陽から32億km、つまりオールトの雲からカイパーベルトを突破して我々の地球に近づいてますが、2031年の最接近でも16億km、つまり地球・太陽間の10倍の距離です。
大体土星までの距離、と聞くと・・・もう少しほっとしますかね?

今回はメディアも衝突恐れなし、とくぎを刺しているので全く混乱はないですが、過去は結構世界をざわつかせたことがあります。

一番有名なのは、約75年に一度地球にやってくる「ハレー彗星」です。
下図は前回の1986年に撮影された写真です。

出所:NASA/W. Liller - NSSDC's Photo Gallery (NASA):http://nssdc.gsfc.nasa.gov/photo_gallery/photogallery-comets.htmlhttp://nssdc.gsfc.nasa.gov/image/planetary/comet/lspn_comet_halley1.jpg, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=544352による
(タイトル画像も同様)

何度見ても美しいですね。

実はこの時に、宇宙から観測していこうという企画がNASAにあったのですが、それを担うスペースシャトル「チャレンジャー」の悲劇的な事故によりかないませんでした。

その1つ前の1910年はまだ解析力が整っていなかったため、非科学的な噂が広まりました。
一番話題になったのは、ハレー彗星にはシアン化ガス(有毒です)がつまっていることが分かったことです。
それが一般メディア経由を経ると、最接近したらそのガスの影響を受ける、というデマが生じてしまいます。
その結果、ガスマスクが売れて、さらには、少しでも今の空気を貯蔵するために自転車用チューブが大量購入されたという、今思うと滑稽極まりない話です。

科学の進歩で幸い今回はデマを聞きませんが、ただし未知への恐怖がパニックを引き起こすのは、この数年も今も経験しています。

もちろん科学は事実でなく「確からしさを追求するもの」なので、妄信してはいけませんが、少なくともSNSなどのデマには騙されないようにしたいですね。

今回の史上最大の彗星最接近まで10年近くありますが、少なくとも美しい姿は愛でたいと思います。

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