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はやぶさ2から正式にアミノ酸を確認

ついに正式に有機物であることが分かりました!

ニュース見てない方は唐突すぎる書き出しですが、はやぶさ2号が持ち帰ったサンプル分析の結果です。

もともと、粗い分析結果で有機物らしきものはありそうなことは分かっていたので、驚きではないですがこれだけニュースになるとやはりうれしさがこみ上げてきます。

個人的には相当感情移入しており、とにかくこのサンプルリターンプロジェクトは奇跡的な偉業だからです。
過去にも部分的に投稿しましたので、関心のある方は覗いてみてください。

今回は20種類以上のアミノ酸という表現にとどめており、近く公式な報告をするそうです。

以前から生命起源の1つに宇宙飛来説(パンスペルミア)があり、おそらく多くの方が関心を寄せていると思います。

ただ、既に過去地球に衝突した隕石から既にアミノ酸は見つかっており、その代表的な例がマーチソン隕石といわれるものです。

1969年にオーストラリアのマーチソン村に墜落した隕石には、現在に至るまで80種類以上のアミノ酸が見つかっています。

実は一時期、その隕石ですら墜落後に地球上で付着したのではないか?と疑われたこともありました。

それはあまりにも「左利き」のアミノ酸が多く発見されたからです。

実はアミノ酸にも、ちょうど鏡で対称性を示す2通りの構造体があります
例えば我々人間の右手と左手のように、同じ5本指で役割も同じに見えますが、ぴったり重ね合わせられず、あくまで鏡で反転した構造ですね。
そして厳密には、利き手という言葉があるとおり、「癖(くせ)」があります。

今回のはやぶさ2のサンプルでも見つかった「グルタミン酸」。
味の素の「うまみ成分」としても有名なアミノ酸ですが、それが入った食品の原材料欄を見ると、「L−グルタミン酸」と書かれています。
この「L」がまさに「左きき」を示していると思ってください。
右利きは「D」が接頭語につきますが、これは我々が旨味を感じられない、いわば別の成分になります。
これは我々の味覚が、右か左かで違った化学反応(少々細かく言えば、光を受容したときの回転の違い)を示すからです。

一般的には、アミノ酸を人工的に生成した場合、右も左もほぼ等量出来ます。コインを繰り返し投げて表と裏が大体等しく出るのと同じく、生成において差を生む過程はありません。

ところが、なぜか我々の生体内分子含めて地球上のアミノ酸はほぼ「左きき」であることが分かっています。(余談ですが専門用語でホモキラリティ状態と呼ばれます。)

さらっと言いましたが、今でもこの不自然な謎は解明されていません。
仮説として偏った構造物が増幅される化学反応も提唱されていますが、検証はされていない状態です。

想像をたくましくすると、今回新しく見つかったアミノ酸が仮に「左利き」ばかりで、しかもその割合が地球上のそれと酷似しているとすると、生命起源の地球外飛来説が1つ有利になります。

今後論文として報告されるなかで個人的には最も注目している論点です。
ぜひ、これを機会に「生命の旅」というグレートジャーニーに興味を持ってもらえれば幸いです。

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