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正確な時計は宇宙を解明する

英科学誌Nature2/17表紙で、ちょっと目を引くトピックが出てました。


要は、
アインシュタインの一般相対性理論を最も高精度に実証できる原子時計を開発した、
という話です。

もう一般相対性理論は広く使われてるのに実証?という気持ちもありますが、あくまで原子時計の性能アピールです。

我々が普段使っている「1秒」の定義は、この原子時計が決めています。

ちなみに、律儀なことに時間の定義は日本の法令でも明文化されています。

セシウム百三十三の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の九十一億九千二百六十三万千七百七十倍に等しい時間

出所:上記e-Govサイト

要は、原子時計はセシウムという原子状態変化を基準にしており、今の性能は、Wikiによると、大体3000万年に1秒ずれる精度です。

それより1000倍の精度を誇る次世代手法として注目されていたのが「光格子時計」という手法で、ストロンチウムという原子を使います。
今回表紙を飾った実験では、その手法でさらに1000倍、つまり約3000京年が経過して1秒の差を生むという、超高精度な時計を実現しました。

これで、もう一生腕時計を買わなくてもいいですね☺

冗談はさておき、その意義なのですが測定の解像度が上がる、に尽きます。

日常生活では関係ないとおもわれるかもしれませんが、実はGPSとかにはすぐに関わってくるかもしれません。

現在においても、GPSは衛星経由で自分の位置を測る際に、一般相対性理論によって数十メートルほど補正しなければいけません。
これは我々が居る地上の位置とその電波をやりとりする宇宙衛星とで重力が異なり、それを計算するのがまさに一般相対性理論というわけです。

加えて、今のGPSは複数(大体3拠点)の衛星による相互作用で計算しているため、各衛星の時刻のずれも位置に影響します。
今回の結果が実用化されると、より我々の位置は正確になり、そうなると商用の機会が広がりますね。

一方、基礎研究として期待されるのは、「一般相対性理論と量子力学の関係が観察できるようになる」ことで、これは宇宙の起源で話題になります。

一般相対性理論はGPSや天文間の動きなど、超重いまたは速い時空スケールを記述します。
逆に、量子力学は原子とか超ミクロな世界を記述する物理学で、普通は舞台が違うのでケースに応じた理論を選択すればOKです。

が、宇宙が膨張していることを1920年代にハッブルさんが計測してから状況が怪しくなります。


膨張してるなら、時間を戻すと宇宙は縮小して超重くて超小さい点から始まったのでは?
となると、宇宙の起源を探索するには2つの理論を両方とも意識せざるを得ない・・・という理屈です。(相当えいやですが)

今のところはその統合理論として「超弦理論」が有力候補ですが、なかなかそれを検証するのが難しく、理論に閉じているのが現状です。

いつかは理論を検証できる観測装置が実現して、宇宙の起源を解明する日がくるのかもしれません。

その瞬間を正確に記すために、最高精度の時計を使ってカウントダウンを始めましょう。

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