見出し画像

惑星の輪っかの謎がほどけつつある

太陽系は、太陽から近い順に
水金地火木土天海(私が子供のころは冥王星も入ってましたら準惑星に)
です。暗記が大変だったのを覚えています。
その中でも見た目で一番好きだったのは「土星」で、輪っかの存在が大きな理由です。

そんな存在を際立たせくれた惑星のリングですが、実は他の惑星にも存在し、最新宇宙望遠鏡ジェイムズ・ウェッブが美しいリングを帯びた惑星写真を撮ってくれました。

Credit:NASA, ESA, CSA, STScI(タイトル画像も同じ)

海王星のイメージが変わるぐらい神秘的な写真です。
そして、おなじみの木星にもあまり知られていませんが、同じくリングがあります。これもジェイムズ・ウェッブによる最新画像です。

Credit: NASA, ESA, CSA, Jupiter ERS Team

この土星で始めた輪っかですが、長い間その形成過程は謎なままでした。
この近年、それについて進展があるので紹介したいと思います。

まず、初めて土星の輪っかを発見したのはガリレオ・ガリレイで1610年ごろにさかのぼります。日本で江戸時代が始まったころと書くと、なかなか格差を感じます。

その謎の解明に貢献したのは、無人探査機カッシーニです。
運用開始から2017年に土星の大気圏に突入するまでの13年間、土星とその衛星を周回し、データを集めてきました。
2009年に撮影した美しい画像を1つだけ紹介しておきます。

Credit:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute

上図から想像できるように輪の幅は広く、100kmから数万kmに及びます。
大体1億年ぐらい前に出来たと推計されています。このリングを構成しているのは、大きさがμmからmサイズの小さな粒子で、その95%程度が、水氷で形成されていることがわかっています。海王星では岩石率が多いため、気になるポイントです。

今まで唱えられてきた説は、大体8億年前ごろに起こった巨大隕石遭遇によるきっかけです。

太陽系の外縁にある天体集積地帯カイパーベルトからやってきた惑星群が、土星など巨大惑星に近づいた際に重力で捕獲された、というイメージです。
そして捕獲された惑星同士が後年に衝突しあった結果、今のような小さな粒子によるリングを形成した、という流れです。
土星は海王星(&天王星も輪っかあり)より半径が大きいために、捕獲する天体が異なり、それが組成が異なる原因という仮説です。下記のサイトで詳しく解説しているので紹介しておきます。

実は、土星にはもう1つ大きな謎があります。なぜか、自転に対して27度も傾いており、普通に考えると衝突を想像しますが、今のところその痕跡は見つかっていません。
そこで、一番重力を与えそうな海王星とのシミュレーションを行った結果、どうも約1億6000万年前ごろ何かが起こって、その重力影響下から外れたとことがわかってきました。これはミステリーの始まりですね。

そしてついに、この傾きの謎も合わせた最近の新しいリング形成仮説が発表されました。

ようは、
過去に重力で捕獲した後の巨大衛星が1.6億年前ごろに土星に急接近し、その時の相互作用で衛星が砕かれてリングの素となり土星自身も傾いた、という説です。

この衛星のことをクリサリス(さなぎの意)と名付けました。
さなぎの如く、捕獲されたあとは何億年も静かに眠り、ついにある時に土星に近づくことで破壊に目覚めます。
砕かれたクリサリスの残骸の約99%は土星の大気に突入し、残りの1%の破片が散乱した状態で軌道上に留まってリングになったという流れです。
実際同じような衛星が近辺にあり、その組成が水で出来ていることから信ぴょう性はありそうです。

今回のデータは、まだ過去のカッシーニによるものです。引退してもなお成果に貢献しているのは格好いいですね。

そしてこれからは、ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡の撮影でさらにその仮説が磨かれると信じています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?