見出し画像

《第10回SCCしずおかコピー大賞 独りごと反省会。》 vol.52

課題6:令和の静岡県につけるキャッチコピー
・『令』の書き出しは、富士山を意識すると上手く書けます。

本日は、月末の休み明け月曜日。「月」と「日」が3つも出てくる書き出し文から始まる批評は、夏の終わりを締めくくることができるのか、できないのか? あまり余計なことは考えずに、サクサクと進めていきたいと思います。

本コピーは、準大賞と協賛賞の両方を獲得していて、昨年のしずおかコピー大賞を代表するような作品の一つです。ただ、私は、審査中に評価をしなかったコピーでもあります。

評価された点は、『こう言われてしまうと意識してしまうよね!』というところ。確かに。こう言われると意識してしまう。

富士山は何回もの噴火で積み重なった成層火山で、均整のとれた円錐形と上層部の冠雪が特徴だ。(詳しくは以下のリンクから)

出典:ふじさんネットワーク 富士山について
http://www.fujisan-net.gr.jp/nature/land.htm

この美しい円錐形と「令」の部首ひとやねと3画目の「一」とのかたちが冠雪中の富士山のように見えてくる、一種の「ゲシュタルト崩壊」をコピー化したのだ。

画像1

出典:ゲシュタルト崩壊 wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B2%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%88%E5%B4%A9%E5%A3%8A

去年の世の中の温度もあり、新しい年号をほがらかに歓迎した「お祝いのコピー」として共感されたと感じた。

新しいことの始まりには、必ずあるお祭りムードや歓迎ムードといった「世の中の空気」を作者が体感し言語化しているからこそ書けたコピーだと、確かに読めます。

ただ、なんども言及して恐縮ですが、結局、静岡県は富士山留まりという予定調和から脱出できていないため、私個人としては全く印象に残っておらず、今日、改めて本コピーを読んで思い出したところでした。

コピーは登場した一瞬で消費されることを良しとするところもある。表彰式の会場では、大いに受け入れられ、共感の拍手をもらっていたと記憶している。でも、今、ありありと覚えている人はそう多くないだろう。それだけこのコピーは、令和元年に余すところなくきっちりと仕事をして消費された、ということだと思うのだ。

だからこそ、令和2年以降には、つまり、令和という年号の目新しさやありがたみが薄くなればなるほど、令の字を見ても富士山を意識することはなくなるという、人間の飽きっぽさや薄情さを証明する研究材料としての価値があると思います。

この意味で、第10回の入賞作品として、アーカイブされることに大きな意味を持ちます。短時間に使い切るコピーの書き方、長い時間使うコピーの書き方を考えるとき、良きアドバイスをくれますから。(コピーを書く者にとっては幸運です。)
私も、今後、有名コピーと同じように、書くときの参考にさせてもらおうと思います。よいコピーをありがとうございました。

最後に、第11回SCCしずおかコピー大賞は、明日9月1日から応募を開始します。静岡県在住者なら誰でもご応募できますので、奮ってのご参加をお待ちしています!
https://shizuokacc.com/award/

※コピーの版権・著作権等の使用に関する権利は、静岡コピーライターズクラブに帰属します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?