酒造り技術の継承・発展を目的とする意見交換会(第3回)


酒造り技術の継承・発展を目的として、各地で酒造講習会や研修が行われています。その現状と課題、また、ベテラン杜氏や木製容器・器具の調査を行うこと、また伝統的酒造りの技について関係者で意見交換を行いました。

日時 令和5年10月12日(水)   16:00~

場所 日本酒造組合中央会3階会議室

出席者
日本酒造杜氏組合連合会:石川会長、中川副会長、四家副会長、小松理事、伊藤理事、箭内理事、浅野理事、梅澤監事、平野顧問
国税庁:岩田鑑定企画官、大江鑑定企画官補佐、佐々木輸出促進室主査
独立行政法人酒類総合研究所:鈴木業務統括部門長
(公財)日本醸造協会:下飯理事
文化庁:飯島専門官、田中専門官、朝倉調査官
日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術の保存会:宇都宮副会長

議 題

(1)各地域の酒造講習会や研修における現状と課題について
(2)伝統的酒造り技術及び器具について
・ベテラン杜氏からの聞き書き調査について
・木製容器・器具使用の実態調査について
・伝統的酒造り技術について
(3)その他

議事概要

1 各地域の酒造講習会や研修における現状と課題について
(事務局)中央会からの講習等助成申し込みは酒造組合単位なので、大和杜氏会と奈良県酒造組合をつないで今年から大和杜氏会の講習に対して助成を行っている。
(文化庁)継承という部分では講習は有効だと思うが、日本の職人はどう育成されているか等対外的(外国人や異業種など)に発信できるようなものを考えていくと良い。
(・助成金以外の講習も調べたい。(文化庁))
~講習のニーズ~
(石川)広島杜氏組合の講習には外部講師を積極的に入れるようにしている。日本酒そのものだけでなく、関わっている周辺の方々になるべく来てもらっている。対象者は主に造りの製造関係。現在は若い人が多いので、講習もできるだけ刺激が多いようにしている。業界では若干生酛づくりブームになっているが、生酛に限らずあやふやな情報も多い。
(伊藤)新潟酒造研究会の研究発表会や技術講習に関しては他県からもお呼びしたり、酒造だけに限らずチーム作りなど異業種の話を取り入れている。
(小松)信州は造りの話が主。少人数の蔵で働いている方の話や現場の話。今年は小売店を呼んだりした。また会員にどんな話が聞きたいかなどアンケートをとっている。
(酒類総研)少人数グループでレベルに応じて上級者と中級者に分けて、どんな造りをしたいかまで考えさせて講習を行っている。
(局鑑定官室)オフフレーバーなど香りのサンプルを取り入れて実習している。臨場相談や講師の派遣など行っているが、単に鑑評会で良い評価をされようというのは乗り越えなければならない部分であると思う。また鑑定官でも、市場に合わせた技術の幅を持った評価のできる人があまりいないのが課題。
(醸造協会)従来からのセミナー、WEB講習に加え、英語スライドと英語で説明する酒造りセミナー「Introductory Sake Brewing Seminar」 を9月から開講した。またいつはじめてもOK。

2 伝統的酒造り技術及び器具について
(1)ベテラン杜氏からの聞き書き調査について
 事務局より調査委託者かくまつとむ氏について紹介し、今年度は
・丹波杜氏組合:小島氏、
・能登杜氏組合:中氏、中倉氏
・広島杜氏組合:(後日調整後)国重氏、池田氏
とすることで了承した。
 他の地域も候補者を選定することとした
・山内杜氏組合:高橋氏、照井氏
・会津杜氏会:佐藤寿一氏
・南部杜氏協会
・但馬杜氏組合

(2)  日本の酒造りにおける木製容器・器具使用の実態調査
 事務局より今年実施する旨紹介があった。

(3) 伝統的酒造り技術について
(文化庁)伝統的酒造り技術を保存するにあたって、マニュアルで落とし込めないようなものも保存していく。ユネスコ無形文化遺産となった際保護活動がされているかが重要。一方、文化財はGIのようなものではなく排他的ではあってはならない。保存会として、何を保存していきたいのか。どこまで細かく深堀するのか。自分たちで考えていけばよいのではないか
(石川)歴史的に培われてきたわざは狭くても良いと考える。やってはいけない部分を決めるのではなく、守るべき部分に入るかどうかが重要。元々はこういうものだったという部分について意味を含めて意見交換していくのがよいのではないか。討論の詳細については、以下のPDFをご覧ください。


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