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MVPって何だ?「今」アメリカでスタートアップをやっている創業メンバーが思うこと

こんにちは。アメリカで専門知識の共有とコミュニティーが作れるプロフェッショナル向けのプラットフォームを運営している野口剛史です。

前回前々回は、ピッチの準備のために、スタートアップの全体像を語ってみましたが、今回からはもうちょっとリアルな現状を話していきたいと思います。

滑り出しはよかったが。。。

アイデアを思いついて行動に起こしてからはや3ヶ月弱。チームメンバーにも恵まれ、コンセプトを証明するために作ったアルファ版サイトではそれなりの成果を得たので、次のステップに進むためにMVPを作ることになりました。が、しかし。。。

MVPって何だ?

本題に入る前に、簡単に今回のテーマであるMVPについて説明します。

MVPとはMinimum Viable Productの略です。 日本語で簡単に言うと、「実用化のために最小限の機能をつけた製品」ということで、完璧な製品やサービスを作ろうとはしないで、とりあえず最低限の機能で試してみなさい(9割は失敗するので。。。)という先人の教えです。

特にスタートアップの場合、お金もない、人もいない、時間もない、というリソースがまったくない状態で、言ってみたら創業メンバーのノリと勢いで成り立っているようなものなので、それを失速させないようにMVPをなるべく早く作って市場に投入するというのはとても大切です。(とYouTube動画で学びました。)

MVPの理想と現実

MVPの大切さはわかっていました。私の教材であるY CombinatorのYouTube動画でもMVPの大切さはいろんなところで語られています。

でも、実際にやってみると難しいんですよ。ほんとに。

MVPのコンセプト自体はそんなに難しいことでもないし、ネットを探せば様々なリソースや成功したスタートアップのMVPの例(Airbnbなど)が紹介されています。でも、自分のビジネスに当てはめてみたときに、実際に起きている現実と頭の中で考えていたアイデアにギャップがあって、そこからどう現実に適用するMVPを作るのかが難しい

ちょっと具体的に説明します。

最初は簡単に描けた理想的なMVP

当初(今から1ヶ月前ぐらいまで)は、私たちのビジネスのMVPはとてもクリアーでした。その頃は、コンセプトを証明するために立ち上げたアルファ版のサイトの試験運営が終了して、協力してくれた15人ぐらいのユーザーさんからもいい感じのフィードバックを得られていた時期でした。

アルファ版のサイトはMVPよりも更に機能が少ないサイトで、私がWordPressで2時間かけて作ったものでした。その時はQ&Aだけで、日本のテストユーザーさんが質問して、協力してくれているアメリカの知財専門の弁護士や弁理士が回答するというただそれだけのサイトです。

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こんな1つの機能しかないサイトでしたが、テスト期間の手応えはまあまあで、完璧にはほど遠いですが、それなりに機能していて、実際に日本のテストユーザーさんの一部からは「ありがとう」メッセージももらえていました。

そのころは思っていたとおりにサイトが機能していたので、以下のようなMVPを考えていました。

• 利便性を向上させたQ&A機能(即席のWordPressのプラグインではなく、カスタマイズされたもの。)
• ソーシャル機能(回答者を質問者がフォローできる機能。フォロアーができることをアメリカ側の回答者のインセンティブにする。)
• 回答者の有料オプション(フォローに対する限定イベントなどができるオプションで、アメリカにいながら日本へのマーケティング・営業活動ができるので、課金してマネタイズしようという思惑。)

これらを実装して、スケーリングできれば成功すると思っていました。。。

これなら
1. 質問と回答で自然にサイト内にコンテンツができ、自動的に専門知識の共有が行える。
2. アメリカの知財に興味のある日本のユーザーが、その情報を目的にサイトに来てくれる。
3. 訪れたユーザーさんは、サイト内のコンテンツを消費することで、協力してくれているアメリカの知財プロフェッショナルを知り、その人をフォローする。
4. アメリカ側の回答者は、フォロアーを得ることで、オフィスを出ることなく、クライアント候補を獲得できる。
5. 有料オプションを使うことで、アメリカ側の回答者は、Q&A以外の形でフォロアーとコミュニケーションがとれる。

という流れで、コンテンツの生成から、ユーザー取得、サイトのマネタイズまで完璧にできるシステムが構築できる。はずでした。。。

現実はうまくいかない

このような絵を描いて、本格的にウェブ開発をする準備を整えていたのですが、、、その間に問題が起こります。

質問数が激減して、直近3週間における新規質問数がゼロになりました。

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これは重大問題です。

上で説明したビジネスモデルの最初で、一番大切な1.「質問と回答で自然にサイト内にコンテンツができて、自動的に専門知識の共有が行える。」の仮説が崩壊しました。ということは、既存のビジネスモデルの最初の1歩でつまずいたので、その後に起こる(はずだった)ユーザー獲得やマネタイズもこのままスケールしただけでは難しくなってきます。

当初はQ&Aをメインにしてユーザーさんにコンテンツをオーガニックで作ってもらえるようにしたかったのですが、ここに来て実際に質問したいことなんてそんなにないことがわかりました。(そんなことはあたり前かも知れませんが、やってみてユーザーが作るコンテンツに依存するビジネスモデルの危うさを肌で感じてしまいました。。。)

言い訳を言うと、私たちが携わっているスペースは知的財産権という法律でも結構特殊な分野で、国際的な業務が求められる業種です。しかし、アメリカの情報に関しては、オンライン上で日本語になっているものが少なく、提携している事務所の弁護士やパテントエージェントに質問すると、(日本と比べると数倍レベルの)費用が発生することも珍しくありません。でも、私たちのサイトなら無料で質問できます。ちかも、プロの翻訳家が無料で翻訳してくれます。こんな便利でお得なサイトを使わないはずがない!!!

そう思ったのですが、現実はそんなに甘くありませんでした。。。

無料なので気軽にたくさん質問してくれると思ったら、ピークを過ぎたら質問する頻度が極端に下がり、3週間ほど音沙汰がありません。。。。つまり、私の予想(と思惑)は見事に外れてしまいました。

求められているMVPとは?

このように、過酷な現実が突きつけられたわけですが、これで諦めるわけにはいきません。というかここからが勝負です。

早速、私の教材であるY CombinatorのYouTube動画を見て勉強しました。そうすると、MVPを作りにはProduct/market fitが必須だというではありませんか!!!

つまり、市場のニーズにあった製品・サービスを作れ!ということですね。たとえ、それが最初に自分が描いたMVPでなかったとしてもです。

ということで、いろいろとサイトをいじって新機能を試しながら、実際にユーザーさんにインタビューしてみようと思います。

やっぱりユーザーさんの声は無視できないですよね。ユーザーさんのニーズというか(ペインポイント、悩みどころ)を解決することが出来て、私たちが提供するサービスを使わないと仕事が進まない!!!みたいなレベルにまで持っていけるかが勝負だと思っています。

行動あるのみ

スタートアップの面白さであり難しさは「正しい回答」がない(というかわからない)ところだと思います。今回の私のように回答が見つかった気分になっていても、実際は違うということがいっぱいあります。

でも、それは頭で考えていただけではわかりません。実際に行動に移して、数え切れない失敗を経て、あるべき形というのが見えてくるものだと思います。

私たちのスタートアップは失うものがありません(というか何も持ってません)。なので、出来ることは行動だけなのです。行動して、結果を出して、成長する。それしか生き残っていくすべはありません。

今後も定期的にNoteでアメリカスタートアップ奮闘記をアップしていくので、この記事がおもしろいと思ったらフォローとスキをお願いします。

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