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OODAが機能するもう一つの条件-OODAループの誤解(3)-

最近、PDCAではなくOODAがよいと言う話をしばしば耳にする。その言説の背景にあるものはなんだろう。

OODAには実は40年以上の歴史がある

そういえば、僕が中学生のころ、湾岸戦争が起きた。初めてリアルタイムで見る戦争に衝撃を受けたものだが、実にそのときにもOODAは使われていたらしい。実に四半世紀どころではない昔だ。

決して、最新のビジネスノウハウとかではない。

それが今スポットライトを浴びているということには背景があると考えるべきだ。

その背景とはなんだろうか。

まず、先にOODAは条件付きで機能するフレームワークだということを説明したい。

PDCAとOODAが機能する条件には違いがある

PDCAは目標が明確な環境で「どうやってよくするか(how)」を考えるフレームワークである。

一方、OODAは明確でない環境で「何をすべきか(what)」を考えるフレームワークだ。

つまり、条件が分岐していて、目標が明確ならPDCA。不明確ならOODAという使い分けをする。

条件のあるものを読みとける人は少ない

条件が分岐する話は、読み解けない人が多い。世の中の平均的な人は読み解けないという前提で考えておいて差し支えないと思う。

Aの場合はB,Cの場合はDという話をすると、「Bですね?」とか、「BとDはどっちがいいんですか?」という質問をよくされる。もちろんそのままではないが、本当によくされる。

条件次第に決まってるだろうといいたくなるが、そこは読解されないようだ。

ビジネス書の大半も条件を無視した話の列記だと思うし、論文で、「こういう環境でこういう結果になった」というのは読み飛ばされ、こういう結果になったという話だけが切り出されるのが常である。

かくして、OODAは条件を無視した万能フレームワークになってしまった。

背景にあるもの

さて、一番はじめの背景に戻る。

OODAが人気化した背景は何か?

ここには、何をするか(what)が見えにくい経営環境があるだろう。OODAはこれにフィットしてブーム化しつつあった。そこに昨今の環境激変でhowが消え去った。whatだけが求められるようになったことがブームに更に火をつけた。

ただそれだけの話だ。古い枠組みに時代の方がフィットした。

2003年頃に読んだ高橋俊介さんの本には「what構築能力」というのがめちゃくちゃ出てきていた。その点では決して新しいものではない。OODAは新しいように聞こえるが、1976年のフレームワークである。実は古いものなのだ。

そして、条件については、(1)で書いたとおり、素人に適用しないというのも併せて抑えておいてほしい。

G-PDCAというのもある

本旨はここまで。続きはこちら。

ここからは、余談だ。

PDCAのPには目標を設定することも含む。むしろ目標がなければPDCAは回せない

だが、経営環境が変わりつつある中で無理にPDCAを適用しようとしたときは、含まれている機能を切り出して明示することがある。

この徒花がG-PDCAだと思う。G-PDCAはとある研修会社が作ったフレームワークだ。Gはゴールで、サイクルの外にでているのが特徴的だ。

ただ、これは本来のPDCAの機能を考えると無理があるという結論に至った。

※この目的やら目標やらゴールについてはまた機会があれば書く

ちなみに、以下の2つの記事もOODAと関連します。よかったらお読みください。


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