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世界一入場料が高い!?ペトラ遺跡の値段が妥当なのかを検証してみた

「世界一入場料が高い遺跡」として知られているヨルダンのペトラ遺跡。

入場料は50ヨルダンディナール(以下JOD)。日本円にして1万500円である。
(1JOD=210円で計算)

もう一度言う。1万500円。ランチはついていない。ガイドもついていない。入場するだけで1万円オーバー。どう考えても高すぎるでしょ。

日本の観光地の入場料と比較してみる。たとえば、京都の金閣寺の入場料は500円。ペトラを1日観光するなら、金閣寺に21回行けるではないか!

日本を代表するテーマパーク・ディズニーランドのチケットは8400円(平日)。段階的に値上がりをして数年前よりかなり高くなったが、それでも1万円は超えない。

入場料1万500円はさすがに高すぎるように思える。節約バックパッカーには、あまりにも痛い出費だ。

いくら有名な観光地といえど、世界遺産であろうと、『インディ・ジョーンズ』の舞台だろうと、ペトラさん、ちょっと調子に乗りすぎじゃないですか?

世界遺産とは、人類共通の財産である。ならば、僕のような庶民にも、もっと手が届きやすい価格にするべきではないだろうか。

ペトラ遺跡の入場料は妥当なのか。今回、僕は庶民を代表して、ヨルダンで現地調査を敢行。検証結果をレポートします。


チケットは3種類

窓口でチケットを買おうとして、初めて気が付いた。ペトラ遺跡のチケットは3種類あるのだ。ここが非常に重要な点なので、覚えておいてほしい。

  • 1日券 50JOD(約1万500円)

  • 2日券 55JOD(約1万1550円)

  • 3日券 60JOD(約1万2600円)

迷ったが、最も高い3日券を購入。今回、僕は遊びに来ているわけではない。人類全体にとって大切な調査をするために、ヨルダンに乗り込んでいる。しっかりと任務を遂行するためには3日間必要だと考えた。大出血だが、世界を前に進めるためならば安いもんだ。

調査1日目

ペトラには前日入りしていたので、入場開始の6時から調査を開始。ペトラ在住のRYOさんに遺跡を案内してもらうことに。

初日なのでまずは正攻法で、正面入り口から。ペトラ遺跡最大の見どころエル・ハズネ(宝物殿)を朝一番で見る。スークを通り抜けてエル・ハズネが現れた瞬間は、大感動。

この日はRYOさんに何人かベドウィンの友人たちを紹介してもらい、彼らの家やお店にお邪魔して、お話しする貴重な機会を得られた。

その際のエピソードはこちら↓

初日ということもあり、メインロードは半分まででやめておいた。途中、横道にそれてトレッキングコースにも行った。16時ごろには活動終了。遺跡内の滞在は10時間ほどだった。

調査2日目

3日間の調査の中日。初日から10時間観光となかなか飛ばしたので、今日はゆっくりスタートに。寝坊したわけではない。戦略的なペース配分をしているだけ。

ということで、調査開始は10時。2日目は裏口から入ることに。正面入り口前の無料シャトルバスでリトラ・ペトラを見学。その後、ジープに乗り、1時間のトレッキングをして、ペトラ遺跡最奥部のエド・ディルへ。

※詳しい行き方は、以下のツイート参照

ペトラ遺跡で最も有名なのはエル・ハズネだが、個人的にはエド・ディルがとても好きだった。

トレッキングで疲れたところに、エド・ディルを眺めながらのランチタイム。最高だった。

エド・ディルは遺跡最奥部。ここから正面入り口まで逆走。この日は一人だったため、寄り道なしで、ひたすら正面ゲートを目指して歩いた。大神殿など前日にゆっくり見られなかった場所は時間をとって観光した。

遺跡を出た後、入り口付近にある博物館を見学して活動終了は17時。2日目の調査時間は7時間ほど。

調査3日目

最終日は再び6時から調査を開始する予定だった。だからこそ2日目は軽めにしておいたわけだ。

しかし、2日目の夜、RYOさんとご飯を食べながら色々話していたら、盛り上がりすぎてしまい、なんと寝るのが深夜3時過ぎになってしまった。あの時間は最高に楽しかったから後悔はしていないのだけど。

ということで、8時調査スタート(これでも頑張った)。最終日は再び正面入り口から正攻法で入場し、これまでの2日間で見逃した遺跡を見たり、横にあるトレッキングルートに足を踏み入れたりした。

しかし、トレッキングはなかなか難易度が高い。完全に迷ってしまった。

迷いながらも、なんとかメインロードで合流できた時は安心した。メインロードは初日と同じく半分までで、最奥部のエド・ディルまでは行かなかった。

ペトラ遺跡最大の見どころであるエル・ハズネを何度も何度も見上げ、目に焼き付けた。丘に登り、いい感じの写真も撮ったりした(丘を登るところで、商売魂たくましいベドウィンたちがお金を要求してくるのだが、たまたま初日に出会ったベドウィンの方がいて「友達だからOK!」と僕だけ無料で通してもらった。ありがとう!)。

活動終了は16時。調査時間は8時間ほどだった。

結論

3日間をフルに使って、1万円超えのペトラ遺跡の入場料は妥当なのかについて調査した。

結論、ペトラ遺跡の入場料は妥当であることが分かった。ペトラ遺跡の入場料は妥当だ。

3日間遺跡巡りをしたが、飽きることはなかった。ペトラ遺跡は世界文化遺産に登録されているが、文化だけでなく自然がすごい。巨大な岩が連なる絶景だらけで、個人的には自然と文化両方の価値があるとされる世界複合遺産に推薦したい。

そして、敷地は広大。トレッキングコースも把握できないほどあるため、3日間でも全く見きれなかった。

こうした点を踏まえた上で、最後に重要なポイントを語らせてほしい。入場料を考える際、つい1日券の値段を見てしまいがちだ。実際、僕も1日券の料金50JOD(約1万500円)が妥当かどうかを判断しようと考えていた。

しかし、ペトラ遺跡の価値を考えると、1日の観光で終わっていいはずがない。そもそも1日券は買ってはいけない。つまり「1日券の料金が妥当かどうか」という問題設定自体が間違っていた。

3日間の調査を終えた結果、ペトラ観光を楽しむためには3日間が必要なことが分かった。つまり、3日券を購入すべきなのだ。

3日券の料金は60JOD(約1万2600円)。ということは、3日間ペトラを観光する場合、1日あたりの入場料は20JODとなる。4200円。1日あたり4200円の入場料が妥当かどうか。これが正しい問題設定だ。

4200円の入場料は決して安いとは言えないが、世界を代表する観光地の価格としては妥当と言える。たとえば、2023年7月に訪れたトルコのトプカプ宮殿の入場料は「ハレム」込みで5035円(950トルコリラ)だった。ペトラ遺跡は世界一値段が高いわけではない。

冒頭に紹介したチケット料金を以下に再喝する。

  • 1日券 50JOD(約1万500円)

  • 2日券 55JOD(約1万1550円)

  • 3日券 60JOD(約1万2600円)

改めて価格を見比べてみる。1日券が50JODなのに、3日で60JODなのはおかしい。さすがに割引率が高すぎる。 もし1日券50JODを基本に考えるのなら、2日で80JOD、3日で100JODくらいの価格設定が妥当だろう。

この価格設定から見えること。それはペトラ開発観光局が3日券をペトラ観光の基本として捉えているということだ。「基本は3日間見学してください。ただどうしても時間がない方もいると思うので、そうした方に向けて割高にはなりますが、1日券もご用意します」というのがペトラ側の姿勢なのだ(確証のない僕の勝手な推察です)。

ということで、もう一度結論。ペトラ遺跡では1万2600円の3日券を購入すべき。1日の入場料は4200円で、世界一高いわけではなく、妥当な料金だ。

旅人への提言(最後に)

ペトラ遺跡は魅力たっぷりの素晴らしい世界遺産だった。ぜひ3日券で挑んでほしい。

だが実際、それぞれ様々な事情があるだろう。なかには1日、2日しか滞在できない人もいることは理解できる。1日しか滞在できないのは、正直かなり残念。しかし、それでも行くべきだ。本来3日間楽しめる場所を1日で一気に回るのだ、という強い決意をもって、ぜひペトラの門を叩いてほしい。

最後に、ペトラでのおすすめの過ごし方、載せておきます。よかったら参考にしてください。

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