「いってらっしゃいのその後で」 家族 と 私

ツルリンゴスターさんの「いってらっしゃいのその後で」は、夫と3人の子供達との日常を描いたコミックエッセイだ。もともと育児アプリやSNSでツルリンゴスターさんの作品を読んでいてとても好きだったので、書籍化と聞いてAmazonで予約購入した。書籍には、SNS等ではあまり描かれていなかったツルリンゴスターさん自身のお話も描かれていて、私は益々この人が好きになった。購入してからもう既に何度か読み返したこの作品の好きなところをいくつか挙げてみたいと思う。

まず、ツルリンゴスターさんの描く絵が好き。人物ひとりひとりがちゃんとその人らしく描いてあって、飾らず自然体なのになんかおしゃれ。こういうのをセンスと言うのだろうか…。子供のちょっとした表情がとてもリアルで可愛かったり、着ている服や背景の小物が素敵だったりするのだ。絵だけでもずっと見てられる。

それから、ツルリンゴスターさん一家が魅力的。パワフルさと思慮深さの両方を感じるツルリンゴスターさん本人は勿論、そんなに喋らないのに存在感と安心感を感じる旦那さん、三人三様の兄妹。うちはまだ一人娘だし、私自身は2人姉妹なのだけど、3人兄弟って楽しそうだなぁと思わせてくれる。(きっと大変なこともあるのだと思うけど。)

もうひとつ、私はツルリンゴスターさんの文章が好きだ。これはSNS等を拝見していた時からなのだが、漫画の最後に綴られている文章が、率直で、思慮深くて、丁寧な感じでとても好きなのだ。自分が漠然と考えていたけど上手く言葉にできなかったものをカタチにしてくれた、と思うことがあったり、逆に考えもしなかったことを言われてハッとしたりする。この本の帯には「家族が好き。でも、私を忘れずにいたい。」と書いてあった。あぁ、ほんとにそうだなぁ。ワンオペの週末や、子供の体調不良で何日も休んだ後、保育園に送り出して仕事を始める前に、ひとりになってほっとする、あの感じを思い出した。あ、私、ここにいる。でもほっとするからといって、家族が嫌いなわけではないのだ。むしろ、大好き。 こういうの、私だけじゃないのかな、と思えて少しラクになる。
エッセイの中ではプロローグの「少し無理してした選択の先に、自分を豊かにしてくれる存在に気付いた」話と、エピローグの「母親とは支配の狂気と背中合わせ」という話が共感と気付きを貰って印象的だった。

これからも、駆けるように過ぎる毎日の中でちょっと立ち止まりたい時、人生の先輩に愚痴を聞いてもらったり、相談をしたりするように、私はこのエッセイを開くだろう。


※2022.12.21 一部修正加筆しました。

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