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コイタイオト〜メルボルンの日本人食料用品店〜安室奈美恵

♪安室奈美恵-愛してマスカット

オーストラリアでの住居が決まり、毎日のルーティンも決まり始めた頃にトラムに乗って、買い物に出かける。メルボルンにある日本食料品店で味噌やめんつゆを購入していると、一瞬母国に帰ったかのような気持ちに合わせて、有線から日本の歌姫の声が流れてくる。

声はわかるけど、曲は正直よく知らない。

有名歌手の曲でもマイナーな曲があるはずだ。

もちろん、ファンにとってはどれも有名曲なんだろうけど、そうじゃない人にとっては意外と知っている曲と知らない曲がはっきりするものである。

マイナーだけどよい曲ってアルバムにしかなかったり、シングルのB面に入っているような曲なんだろうけど、僕が印象に残っているマイナー曲はDragon Ashの「HOT CAKE」という曲だった。

この曲はアルバムのシークレットトラックとなっていて、最後のトラックに無音の状態が15分ぐらいあり、それから突然「はあ、なんか疲れちゃった今日も〜」という寸劇が始まる。

僕は、当時中学生の定期試験対策中で、アルバムを再生したままヘッドホンをしたまま寝落ちしていたところ、偶然発見されることになった。

最初は、夢なのか家族の誰かがしゃべっているのかわからず、びっくりしたんだけど曲が始まり「アルバムがまだ再生されているんだ」と気づいたことを今でも覚えている。

海外で日本の食べ物が恋しくなる

僕は今まで様々なタイプの旅行をしてきたと思う。

人生で初めて海外に行ったのは大学2年生の時だった。

名目としては、大学が提供するヨーロッパ研修旅行で提携している大学との交流を目的としているものだったが、中身はほぼ引率の先生付きの学生旅行だった。

この旅行では全てがセットされていて、お金さえ払えば誰でも参加できるものだったし、スイス・イタリア・ドイツ・フランスと4カ国も回ってくれるお得な旅行だった。

僕は、クラスの友達と共に参加して人生初の海外旅行となった。

はっきりいって、辛かった記憶の方が強いことを覚えている。

クラスの友達といっても、誰かと毎日同じ空間にいなければならなかったし、3日に一回が移動するので、スーツケースを持って常に移動しなければならなかった。

毎晩酒を飲み明かし、慣れない海外の食事に気が滅入ったことは忘れられない。

2回目の海外は、NYの大学への短期留学だった。

これも大学から提供されていたもので、夏休みを利用した短期留学制度だった。

海外に行けることに加えて、これに参加すれば英語の単位をもらえるというので参加することにした。

ここでは大学の寮に入っていたので、食事は毎回バイキング形式のものが用意されていた。

出てくる食事がピザドリア、そしてスニッカーズといったアメリカナイズされた食事ばかりで、味噌汁や煮物といった胃に優しいものが出てくることはなかった。

スーパーマーケット

3回目の海外は、女房と学生最後の旅行として北欧をバックパックで回ったことだ。

この時は、本当にお金がなくて毎日格安のゲストハウスを調べて回っていたし、必ずスーパーマーケットに入って、安い食材を手に入れてゲストハウスのキッチンを借りて、ここで調理するという方法で凌いでいた。

この時の経験が僕の旅の基礎となっていて「旅行でも自炊する」ことが、自分のスタイルになっている。

料理で一番多かったのがサーモンパスタだった。

パスタはどの国にもあるしサーモンも、どの国でも愛されている食材だ。

サーモンはスーパーマーケットの透明なガラスケースに入って、量り売りされているので、店員に「300gください」と言えば350gぐらいに切って渡してくれる。

まずは、フライパンでサーモンを焼く。

味付けは塩と胡椒だけで十分だ。

皮の部分から少し焦げ目ができるぐらいに焼いてから表面裏面、最後に側面と順に焼いていくのである。

それから大きめの鍋に湯を沸かして、塩を入れてパスタを茹でる。

パスタは少し固めのアルデンテが好きだ。

この後はお好みで市販のクリーム系のソースを使ってもいいし、ゲストハウスの誰かが置いていった適当な調味料を合わせれば、なんちゃってペペロンチーノが出来上がる。

そこに焼きたてのサーモンを乗せれば、十分な食事ができあがるのである。

中華料理

旅行に少しお金に余裕があれば、中華料理屋を探して入るのもいいと思う。(冷静になって考えれば、お金がないのに旅行する人っていないよな)

チャイニーズレストランってどこにでもあるし、どこも安価で設定されている。そして、味はどこで食べても同じだ。

一度だけ、贅沢な旅行をしたことがある。

それは7月にギリシャの島で過ごす、という完全なる、そしてこれ以上ないバカンスだった。

そんな旅行の時だって、チャイニーズレストランは欠かせなかった。

旅行の後半になるにつれて、どうしてもハンバーガーやパスタの味に飽きてきてしまって、あのギトギトした中華料理が恋しくなってしまう。

餃子に春巻き、さらには、空芯菜炒めにチャーハンとラーメンを頼んでシェアする、これが僕の中華料理店での鉄板オーダーだった。

旅行が終わると、日本に戻る飛行機の中で僕は空港で食べる寿司のことを思ってワクワクしてしまう。

僕の旅行を終わらせる儀式として、寿司を食べるようにしている。

やはり、日本の食事が一番だし、自宅が最高だし、JPOPが心に沁みる。

そんなことを思い出させてくれる日本の歌姫、曲を知らなくても声さえきけばその存在が明らかだった。

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