マガジンのカバー画像

思い出たち

8
あの日の陽の匂い、風の柔らかさ、緑の揺れる音、なにかのきっかけで思い出す。遠くに行けない今だから、過去に旅に出る。
運営しているクリエイター

記事一覧

プチトマトと餃子とアップルパイ

プチトマト 父の入院中に実家の冷蔵庫を整理しに行った。おそらく父が家に戻ることはないので…

濃炭冷茶
7か月前
13

人形の夢と目覚め

最近はオースティンの人形の目覚めと説明するより、お風呂が沸きましたのメロディーと言った方…

濃炭冷茶
1年前
15

祖母の話

以前に私が書いた母方の「祖父の噺」を、母が読んで泣いた。忘れかけていた父親の姿を、思い出せ…

濃炭冷茶
2年前
19

中華料理と手相と恩師

中華街にて中華街で食事をした後に中国茶と肉まんとシルクのポーチを買って、時間があったので…

濃炭冷茶
3年前
12

大失恋。

「ラジオのスイッチをいれたときに、自分のお気に入りの曲がちょうど流れ始めると、幸せを感じ…

濃炭冷茶
3年前
35

花火

夕方から母と予約していた美容室に出掛けた。母が私と同じマンションに住むようになって3年、…

濃炭冷茶
3年前
24

祖父の噺

私の苦手なものは、気の利かない女と、言い訳する男と、オチのない話。それから、力任せにぶつかってくる剣士だ。こればっかりは本気でやめてほしい、とにかく痛くて怖くて泣けてくる。なお、食べ物で苦手なものは特にない。何でもモリモリ食いしん坊だ。 祖父は常々私に、物事にはオチというのがあって、それはとても大事だと言っていた。 警察官だったらしい祖父は、私が生まれたときには長唄と三味線と書道の先生をしていて、お弟子さんが自宅にお稽古に来たり、掛け軸や色紙などの作品を作ったり、大きな舞台

目が覚めたら足が速くなっていた話

私は、身体が小さくて、人前で話が出来なくて、自分の想像の中で遊ぶ子どもだった。 鉄棒も縄…

濃炭冷茶
3年前
26