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想像以上な結末

社宅が相鉄線沿線だと聞いて、お腹に力が入った。
ぼくには、生まれ変わっても愛せないひとが2人だけいて、そのうちのひとりが、相鉄線沿線で生まれ育っていた。
たったそれだけの理由で、ぼくは相鉄線沿線のとある駅を忌み嫌っていた。
きっと世の中のダークサイドな感情っていうものは、多くはこんなふうに、とばっちりで、よく物事をみていないんじゃないかと思う。いまはね。

ものすごくかわいかったから、声をかけた。思い切って。隣の席の女の子が、アシストしてくれたおかげで、思い切ることができた。
ぼくらはすぐに友達になった。
ぼくがみにくい感情を持つ町で生まれ育った女の子。その女の子の名前は、もうひとりの愛せないひとと同じだった。
神様がチャンスをくれたような気がした。

ふつうに生活していたら話すこともなかった女の子は、顔のきれいさよりももっと、心のきれいなひとだった。
ここまで真っ白な心の持ち主がいるとは。ぼくはいつも彼女の発言に感動していた。

隣人と3人で遊んで車で家まで送ったあの日。家に帰ると、お便りが1通。
ぼくは、君の彼が羨ましいよ、と、返事を書いた。何が書いてあったかはナイショだけど、ぼくは、ただただうれしくて、うれしかった。

愛せない2人も、このすてきな女の子と友達になれたことに感謝するための前フリだったのなら、ちょっとは愛せーーーないけれど、すこしだけ、ほんとにちょっとだけ心が軽くなった。

顔がかわいいから友達になろうと声をかけることは、あとにも先にもない。
「Girl , I Like Your Face.」
からはじまった、友達の話。

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