お母さんの共感者はやっぱりお母さん
先日、3歳の息子が通っている保育園での懇談会があった。
年齢ごとに保護者が集まって、来年の連絡を受けたり今年一年を振り返ったりするものだ。
去年の懇談会では「〇〇の親です」程度の挨拶で、あとは先生の一年の総括があり、来年の準備するものや行事などをお知らせしてもらい、終了だった。
ので、まあ今年もそんなかんじで、すん、っと終わるだろうと思っていたが、今年は毛色が違った。
というのも、まずは各保護者の自己紹介から始まったのだが、スタートのお母さんがわりとしっかりとした挨拶をしたのだ。
それに続いて次のお母さんも、この一年の子供の成長や先生への感謝の言葉を述べた。
自分の番になるまではまだ時間があったので、私は何を話そうかなと考えながら話を聞いていたら、なんと!一人のお母さんが泣き出してしまったのだ。
これは決して悲しいとか、怒りとか、自己紹介が死ぬほど苦痛だったとかそういうことではなく、ただ感動して泣いていた。
そのお母さんは朝も帰りもよく会うので話も何度かしたこともあり、少し事情を知っていた。
双子のお子さんを持つお母さんで、旦那さんのご実家で同居されており、よく義理のお母さんと一緒にお迎えに来ている。
私は高齢出産で妊娠時にもう二人目は無理だろうと考えていたので、双子だったらてっとり早く二人子どもができていっぺんに子育ても終わるしいいなぁ、なんて考えていた。
今思えば、そんなことを考えていた自分をぶん殴ってやりたい。
一人だってこんなにヒーヒーいってるのに、それが二人同時?!
ありえない!
お金だって同時に2倍かかる。
双子のお父さん、お母さん、本当にご苦労様です。
話を戻すと、そのお母さんの大変さは双子というだけで容易に想像できる。
さらにその双子ちゃんはとても元気に泣く子たちで、授業参観でも、運動会でも、発表会でも、よく泣く。
泣く。とても泣くのだ。
第三者からみたら特に気にならないのだが、気にされていたようで、「また泣いたらごめんね」と発表会が始まる前に謝られたこともある。
けれども今年の発表会ではみんなと一緒にお遊戯はしなかったものの、泣かずに終わることができた!
去年は泣いて泣いて先生に抱っこされていた双子ちゃんが、今年は泣かずに最後まで舞台に立てた。
この成長の喜びは子を持つ親なら誰もが共感できることだろう。
子供の成長を願い、喜び、感動して泣いていたお母さんに、先生や他のお母さんももらい泣きしてしまっていた。
そして他の人の番になり、また泣き出すお母さんが!
そのお母さんは、お子さんが3月生まれということを気にしていた。
この頃の4月生まれと3月生まれの差はかなり大きい。
2歳児クラスでも4月生まれであればあと少しで4歳。
3月生まれはまだ3歳にもなっていない。
この頃の一歳の差がどれだけ大きいかは、子育てをしたことがある方なら誰でもわかるだろう。
3月に生まれたことで他の子に遅れをとる焦りを感じていたお母さんは、無事に一年を終えられる安堵感で泣いていた。
その後も泣くお母さんが!
その方の事情はこうだ。
半年でお子さんを保育園にいれた
お座りもまともにできない頃に保育園に入れてしまった
さらに帰りも遅く、土曜日まで仕事をして保育園にフルで預けている
そんなことに罪悪感を持っているが、それでも頑張ってくれているお子さんのことを思って泣いていた。
「〇〇は保育園がんばるから、ママはお仕事頑張って」と声をかけてくれるそうだ。
そんなこと子どもに言われたら私も泣けてしまう。
しかもこの方はシングルだから、余計に子どもに寂しい思いをさせていると感じているのかなと勝手に想像して、さらに泣けた。
そしてまた一人。
年度の途中で、旦那さんの仕事の都合で引っ越してきて初めての保育園。
そしてまた旦那さんの仕事の都合で3月にはこの保育園を去ることが決まっているお母さん。
保育園に入れるのも、出るのも親の都合。
振り回して申し訳ないという気持ちと、それでも頑張ってくれる子ども、そして安心して預けられる場所を提供してくれる園への感謝で、泣いていた。
双子の保護者、シングルマザー、転勤族。
こういった特殊な事情がなくとも、子どもの性格や親のキャパなどは人それぞれ。
五体満足で生まれてきても子育ての悩みはつきない。
特に保育園は、3歳までは親が見ていたほうがいいなんて話をあるくらい、賛否両論ある。
私も保育園に入れたばかりの頃は子どもが風邪をひいたり、しょっちゅう中耳炎にもなり、保育園に入れていなければよかったのかも、と悩んだこともあった。
そしてたまに仕事で土曜保育に預けるときは、預ける子どもの少なさに申し訳なさも感じている。
なのでそういったそれぞれの事情は痛いほどわかる。
話していて泣いてしまうということは、やはり心の中がいっぱいいっぱいなんだろう。
みんな本当に頑張っている。
そんなに頑張らなくてもいいよ、なんて言葉もあるけれど、そんなに簡単に肩の力は抜けないのだ。
一人の命を預かっている責任は思った以上に大きい。
色んなもの抱えて、みんないっぱいいっぱいになりながらバタバタと過ぎる毎日を過ごしているんだと思うと本当に胸が熱くなった。
と同時に、お母さんたちがもっと気を抜いて楽しく子育てができる世の中になればいいのに。とも思った。
なんだかよくわからない懇談会になったが、自分の中にあった黒黒しいものが全て洗い流された気分だった。
そしてこの保育園、特にこのクラスは本当に保護者がみんないい人で、先生もとっても優しく優秀。
保育園を探している人がいたらぜひとも!と紹介したくなる園なのです。
本とーーーーーーうに!
転園してよかった!と何度思ったことか。
先生いつもありがとうございます。
そしてお母さんたち、お疲れ様です。
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