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国権強化を止めよ

日本製鉄によるUSスチールの買収について、米国大統領であるバイデンが否定的な見解を示すという異例の事態であるが、市場における私企業同士の取引に政治が介入する道理はない。既に、日本製鉄とUSスチールは企業間の合意を得ており、株主も賛同している状況であり、加えて、法的に問題が生じている訳でもなく、米国政府はこの取引におけるステークホルダーではない。日米両国の同盟関係は、私企業にとっては何も関係が無く、日本製鉄は、米国政府首脳の発言を真っ向から批判し、政治に左右されずに買収を完遂すべきと私は考える。
二〇一〇年代より、各国で国権の強化が起こり、経済学の分野でもMMT(現代貨幣理論)に代表されるような国家依存を強める言説が流行したが、国民と国家の利害は基本的に相対立する構造であり、法以外の、政治的権威なるものに各国市民はひれ伏すべきではなく、相手が元首であれ、理に適わない言動に対しては、国家の暴走を食い止め、自身の権利を守る為にも猛然と批判・反対の声明を出す必要がある。

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