見出し画像

企業家は「リスク選好的」なのか

タイトル写真は、企業家の行動理論:エフェクチュエーションの日本の第一人者、吉田満梨先生のポートレート作品です。吉田先生の弊スクールでの講義開講にあたり、受講生さんからご提供いただきました。この方、デンマークで子供たちに漫画スクールを開講されておりまして、そのスクール生が吉田先生の写真をもとにイラスト化してくれたんです。

吉田先生にも喜んでもらえたようで、良かったです!!

そんな動きはエフェクチュエーションの教える企業家の第1行動原則「手元のリソースで何ができるかを考える」(bird-in-hands)だなあと思いつつ、本日は第2行動原則「許容可能な損失(affordable loss)」の話です。

「許容可能な損失」とは。実は、企業家は自分が致命傷になる失敗・損失を見極めており、そうした致命傷を負わないように、許容可能な損失の範囲内でアクションしている…という行動理論です。

この、企業家は実はリスク回避的、という点は、エフェクチュエーションによる、旧来の学説への重要な反論です。

アカデミアでは、企業家精神の測定尺度に「リスクテーキング」が疑いもなく入ってくる程度には、起業という行為をする人はリスクを取れる人だ、と無条件で認識されてきました。

しかし、エフェクチュエーションの研究過程で明らかになったのは、成功している企業家はおしなべて「失敗した場合の損失を計算し、致命傷を負わないように、失敗しても次があるように考え、行動している」こと。

むしろ大企業のシニアマネジャーほど、成果をより高めることを念頭に、リスクテーキングな思考・行動をしている。

これはよく考えれば当たり前で、不確実かつ失敗・倒産する可能性にさらされていれば、人はそのリスクを避けようとしますし、会社組織というセーフティネットの中で働いており、自分の地位が簡単には失われないならリスクも取るでしょう。

実際、起業をされている方であれば、肌感としてあるはずです。自分は、確かに本質的には人生においてリスクを取った行動をしているけど、日々の思考様式は会社をリスクにさらさないようにと考えている、と。

かくして現在、企業家のリスク選好度については、議論が見直されている状況にあります。

皆さんは、どう考えられますでしょうか。アントレプレナーシップ(企業家精神)の本質は、リスクへの挑戦でしょうか。それとも実は、起業とはリスクを追いかける行動ではないのでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?