3C分析とは、心、データ、知略である。
ターゲット市場を選定していく上での最有力手法、3C分析。
Company:自社の分析
Customer:顧客の分析
Competitor:競合他社の分析
この3つを検討していくことを通じて、マーケティングの基本方針を定める分析手法です。
経営学の世界では比較的知名度の高い分析手法でして、マーケティングや戦略関係の書籍を読んだり、それを仕事にしていたりすると、どこかしらで見かけたことはあるはず。
なのですが。
3C分析、もったいない使われ方がよくされています。
それは。自社分析、顧客分析、競合分析、それぞれに細かな分析手法を用い、データを積み重ね、均等に等しく分析を重ねていく、という使い方。
これだと、3C分析は真価を発揮しない。
3C分析のポイントは、「3種類の違う視座を場に投げかけること」にあるんです。同じようなアプローチで、3つの対象に目を注いだところで、見えてくるものは同じ。3度、違う見方をすることで、様々な観点からして正解を探っていくのが3Cです。
自社を見つめる目とは何か。自分達に対して、何を問いかけますか?自分達の特徴、強み、あるいは弱み、メンバーのメンタリティ、社風、それらの根底にあるものは何だろうか?根っこは同じ、自社が何をヴィジョン・ミッションとしているのか、であるはずです。
もちろんデータにも当たっていきますし、様々な分析手法も使うけれども、結局自社が社会に提案しようとしている価値から逸れることはできないはずです。もし、自社のヴィジョンから逸れた製品を、ヴィジョンから逸れる市場に出したところで、内部のメンバーも、顧客も、あなた自身も、「なぜこういうマーケティング策になったのか」を納得することはできない。
自社を問う視点とは、その意味において「心」ではないかと思います。
顧客を見る目とは何か。
結局、心で答えを決めたところで、市場がなければ売れない。必要なのは、数字です。今日、市場というものは徹底的に数値化して分析可能になっています。自分達でデータを得ることもできるし、そもそもググるだけでもいくらでもデータは出てくる。エビデンスベース、と言ってもいいかもしれない。
もちろん、数字では説明できないものも大切ですが、商売を成り立たせるために大切なのは、顧客がどれくらいいて、どの程度支払い意欲があるのかという数字です。
その意味で、顧客を問う視点は、「データ」あるいは「エビデンス」です。
競合を見る目とは何か。
自社のヴィジョンから逸れてもおらず、顧客もそこに存在しているとして、それでもビジネスが成り立つかは不透明です。そこに介在してくるのが、競合企業です。競合がいればレッドオーシャンになり、市場を奪い合うことになります。競合がいなければ、ブルーオーシャンであり、さしあたっては市場を奪い合うことなくビジネスをすることができます。
ここで、競合がいないブルーオーシャンを狙うことは、単に「儲かりやすいから」という以上に大切な意味を持ちます。ブルーオーシャンであるということは、そのニーズを解決する商品は、まだ市場に出ていないということを意味するからです。競合と、お互いに商売の邪魔をするのではなく、競合と手分けすることでより多くの顧客の、より多くのニーズにこたえられるのが、ブルーオーシャンです。
ブルーオーシャンをどう探すか。そのためには、競合の徹底的な分析が必要です。どんな戦略で、どういう市場を、どんな製品、どんなマーケティング策で狙ってきているか。そして、相手の隙を発見する。
それはすなわち、競合をみる視点は、「知略」だということです。
かようにして、「心」「データ」「知略」と、それぞれに違ったフォーカスでものごとを見ていくことによって、自社が狙うべき市場を定めていくのが、3C分析なのです。
違う視座で見ていくことが大切、という意味では、心・データ・知略、でなくてもよいです。
この3度の問いかけは、
「ミクロに見る自社」
「メゾにみる顧客動向」
「マクロに俯瞰する競争状況」
とも言えますし、
「内を見る」
「外を見る」
「内外を統合する」
だとも言えるでしょう。いずれも正解だと思います。
せっかく3度にわたって答えを問うのだから、同じようには、見ない。
3C分析を、のっぺりとした、同じことの3度の繰り返しにしては、とっても、もったいないです。視点を変えて、3度、問う!
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